津島修三ブログ

カメラマン兼ライター津島修三のブログ

写真を捨てる日

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「それよりも先にやらなきゃならないものがあるでしょ?」と言われればもっともな話で、週明けすぐに締切がやってくる原稿を書くのが、今のところの優先順位一番なのだが、それを後回しにしてまで今意地になってやっていることがある。
それは、写真を捨てるという作業だ。
写真を撮った直後は、よほどのNGカットでもない限り、“とりあえず”HDDに収容しておく。
ところが、ある日突然、その“とりあえず収容カット”の多さが神経に障ってくることがある。
たとえて言うなら、昨日までは気にならなかった爪の長さが、今日になって急に鬱陶しくなってきて、とにかく爪を切らないことには、他の何も手につかなくなるような感覚。

よし、今日は写真を捨てよう。
そう決心するのだ。
そうすると、もう狂ったように写真を捨てる作業に没頭する。
もしボクにマネージャーのような人間がついていたら、「それよりも先にこっちをやってほしい」と懇願するだろう。
しかし、聞く耳は持たぬのだ。
鬱陶しくなってしまった爪のように、そこに詰まらぬ写真があることが、ボクには耐えられないのだ。
もしボクに何かの褒美のような神の采配でとても若い恋人でもできて、「そんなことよりアタシと遊んでよ」と哀願されても、今は聞く耳を持たぬのだ。
い、いや、そういうことだったら、少しは聞いてやってもいい。
「ちょっと待ってくれないか。区切りのいいところまでやってしまうから」

ソフトの限界なのかHDDのスペックの問題か、一度に大量の写真を捨てようとすると、エラーが発生してしまって、今まで数十分かかってゴミ箱に入れ続けてきた写真が、消去されずに残ってしまう。
あるいは、捨てられていく写真たちの、最後の悪あがきか。
それでもボクは、鬼の執念で写真を捨て続ける。
すまんな、中途半端な写真を後生大事に取っとくなんてことは、もうしまいにしたいのだよ。

というわけで、今日はほぼ予定通りのところまで、ざっくりと写真を捨てました。
明日の日曜日は原稿書きに取りかかります。
うちの奥さんが、「アタシと遊んでよ」と言い出さない限り…。


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  1. 2008/10/04(土) 18:56:03|
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完璧だ!

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明日、津島は1時間の講義を受け持つのである。
(今日から津島を“教授♪”と、呼んでもらっても差し支えない)
写真屋なのにシャベクリだけで1時間持たせるのは芸がなさ過ぎるので、自分の撮った写真でパワーポイントファイルをつくって、それを見てもらいながらしゃべろうと思った。
ただ、パワーポイントなんて、めったに使わない。
最後に使ったのはたぶんちょうど一年前だ。
そんなんでまともなファイルをつくれるのか?

しかし、今さらあとには引けない。
昨日まず、必要と思われる写真50点ほどを夜中までかかって探し出し、今日はそれを場当たり的にパワーポイントに組み込んでいった。
写真はこの順序に見せて…、この写真の時はあの話をして…、あの話の時はこの写真を見せて…、この話をし終わった直後に次の写真を見せて…と、展開を考えながら写真を並べていく。
とりあえず順序だけはスムーズに並べ終えたあと、どうせならトランジションも気合いを入れようと思う。
単純な切り替えならただのディゾルブでもいいけど、ここはちょっと劇的な感じで場面転換しようとか、ここはヒョイっていう感じの場面転換にしよう…とか。

完璧だ!
びっくり。パワーポイントというソフト自体が完成度が高いということなのだろうけど、こんなに思い通りのものが出来るとは!
明日の講義、受講生はともかく、しゃべるほうはなんだかすごく楽しくなりそう♪
日頃は、写真を撮ってても仕事をしてても、何か今ひとつ消化不良なものを残してしまうようなところがあるのだけど、今日ほどの達成感というか、“完璧感”はついぞ味わったことがない。
嗚呼、自分がこわい。

んが、心配も、ないではない。
あまりにもパワーポイントがうまく出来過ぎて、嬉しくて仕方なく、前祝いに早々とぐびぐびやっちまったものだから、もう、ヘベレケなんである。
実はまだ、シナリオをまとめていないのだ。
講義中に絶対言い忘れてはいけないキーワードとかがあり、それを言うタイミングとか、流れとかもちゃんと考えなければいけない。
それなのに、もう、ヘベレケなんである。
しょうがないな、津島教授は。
しょうがないんです。生まれつきの性分なんです。
学生時代も宿題はいつもやっつけ仕事だったけど、しゃべる側に回ってもやっつけ仕事なんです。
そういう男なんです。
あなたとは違うんです。



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  1. 2008/09/26(金) 21:15:05|
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北のほうの国から2008 〜問わず語り〜

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ななこおばちゃんは、結婚がうまくいってなかったようだ。
そうはいっても、休みの日などには夫婦でクルマで一緒に買い物に行く姿も見られ、特に暴力を振るわれるとか喧嘩ばかりしているとか言うことでもないように思われ、「ま、あんたに言っても分かんないだろけどね」と、寂しげにボクの前で問わず語りされたって、そんな大人の事情には全然ついていけないボクは、何がどうなっているのか、さっぱり理解できなかったのだ。
新吉に、隣町に向かう男の人の運転するクルマにななこおばちゃんが乗っていたのを見たという話を聞かされた時も、ケッコンしてる女の人がそんなことをするはずがないから人違いだろうとボクは信じなかったし、もしそれが本当だったとしても、きっと何か特別の事情があったのか、それに、その男の人だってななこおばちゃんの親戚の人かもしれないと思われ、だけれどもやっぱりあの日のななこおばちゃんの寂しげな顔を思い出すと、他の男の人のクルマにというのも、それがどういう意味を持つのかはよく分からないけど、なんだか妙にリンクするようにも思われ、こんなときの自分の気持ちはうまく説明できないのだけど、ちょっともやもやしたような、イライラするような、とにかく自分でもちょっとイヤな気分の感じになるんだ。
「こっちに越してくる前にね、あたし、桃川に住んでたのよ」
暇だったらお茶でも飲まない?と、ななこおばちゃんは恋人でも誘うようにボクを喫茶店に誘った。
ついこの前に「コーヒーは砂糖もミルクも入れないで飲むのが大人の飲み方らしい」と新吉に教えられ、ボクはウエートレスに、「コーヒー、ブラックで」と注文した。暴走族とつきあっていそうな頭の悪そうなそのウエートレスは、ヘッとバカにしたような顔になって、「ブラックですね」と言った。
ななこおばちゃんはアイスレモンティーを注文した。
そのレモンティーの氷をストローでくるくるやりながら、ななこおばちゃんはほとんど目を伏せたまま、「桃川にいたころね、ショッピングセンターでパートしてたのよ」と、話を続けるのだ。
たぶんこれから続く話はボクには関係ないことだと思われ、聞きたくもない話かもしれなかったけれども、ああ、このヒトは(ななこおばちゃんのことだけど)何か腹にたまっていたものを吐き出したくなったのかもしれないと思い、ブラックコーヒーをごちそうになった分だけでもだまって話を聞いてあげようと思った。
それにしても、ブラックコーヒーは苦かった。大人の味覚は分からない。
腹の中に何かたまる感じというのも少し前までは分からなかったけど、このごろボクは、風呂に入るとときどきチンポがかたくなり、それはまるでゆでられたナマコのような感じで、もしかしたらこれは何かの悪い病気なんじゃないかと不吉な予感がして、でもなんだか父さんや母さんに聞くわけにもいかないことのようにも思われ、恥ずかしかったけど新吉に話したら、「お前もか?! オレもなんだよ!」とびっくりされ、それで、ああ自分だけじゃなかったんだと少し安心したのだけど、でも、もしかしたら二人の間で悪い病気が感染したのかもしれないし、頭の中で最悪のことまで考えてしまった。
棺桶の中で、白い着物を着せられて両手を胸の上で合わせ、かたくなったままのチンポがぴょんと上を向いている…。
「そのパート先の課長さんがね、ちょうど修ちゃんのお父さんと同じくらいの歳の人なんだけど、すごく優しい感じの人なのよ。なんか、仕事でイヤなことがあっても、その人の隣にいるだけでほっとするみたいなね。もうあたしは結婚していたし、課長さんだって家庭のある人だから、変な気は起こさなかったけど、パート先の忘年会で居酒屋で偶然課長さんの隣の席になった時はなんだかちょっと嬉しくってね。思っていたよりも忘年会が早く終わって、店の外に出た時、課長さんも同じ気持ちだったみたいで、“なんか、飲み足りないなあ。なっちゃん、少しオレにつきあわないか?”なんて言うのよ。あたしもまんざらでもなかったから、他の人たちに気づかれないように、二人でその場からとんずらしたのよ。なんだかんだで2時間くらい一緒にいたかな。ダンナからは帰りが遅いって怒鳴られたけど、悪くない夜だったなあ」
そう言ってななこおばちゃんは顔を上げたかと思うと、遠くを見るようなまなざしになった。
ボクは、その“なんだかんだ”の部分を一番聞きたかったような気がするのだけど、運悪く発作が始まって、チンポがかたくなってしまい、でも今までの経験だと5分か10分程度で発作もおさまると思われ、なんでもいいからあと5分か10分だけこのままでいなければと思い、いつななこおばちゃんから「そろそろ帰ろうか」と言われるかとびくびくしていたんだ。
「修ちゃん、人の本当の“居場所”って、あとから見つかることもあるのよね」
ボクは、ななこおばちゃんの言ってることが分からなかった。
とりあえず、この話は新吉には言わないでおこうと思った。
漠然とした予感だけど、この話をしたら新吉も発作を起こしそうだったから。



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  1. 2008/09/23(火) 11:21:03|
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来月はどこへ…

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昨日のテレビの旅番組で、青森県のランプの宿・青荷温泉が紹介されていた。
ボクも今夏取材で行ってきたばかりだったので、「お、なつかしいな」と思って見入ったのだった。
昨日の…と書いたけれども、念のためにテレ東のHPで確認してみたら、キー局での放送は8月20日だった。なんと、丸ひと月遅れの放送だったのだ。

首都圏関西圏の人には考えられないかもしれないけれど、地方では、同じ全国ネットの番組でも、2、3週遅れで放送になることが珍しくない。
「これからの季節にオススメの旅はここ!」などという旅番組でも、とっくにその季節が終わっていたりするのだ。
視聴者プレゼントの告知の画面の上に、〈この放送は録画のためプレゼントの受付はありません〉などというテロップが重ねられていたりする。
つまり、半分は役に立たないような番組を見せられているわけで、そういう意味では、やはり地方は“遅れてる”、あるいは、“軽視されている”のかなあと、思ってしまうのだ。

津島自身はまだ北海道の旅の余韻の浸っているところだが(2回連載の旅のレポートの後半もちょうど今書いているところだし)、来月上旬には、またどこかに温泉取材にいくことになる。
偶数月の上旬に温泉取材に行くというローテーションが、ここ数年のボクのパターンだ。
これは、直前になるまで取材先が決まらない。ボク自身が行きたいところに行けるというわけでもない。
ほどほどに旅気分が味わえる行き先になればいいのだけどな。(遠い分にはいくら遠くても構わないし)

それとは別に、10月2日には秋田県小坂町まで取材に行ってくる。
断るつもりだったのに断りきれなかったという、例の案件だ。
小坂町と言えば、秋田青森両県にまたがる十和田湖の、秋田県側の入口。
取材は早めに切り上げて、十和田湖まで足を伸ばして、今年の紅葉の具合を見てこようと思う。

転んでもただでは起きないのだ。えっへん。



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  1. 2008/09/21(日) 11:53:00|
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別れられない

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全然うまくいってない恋の話を聞かされた時など、じれったくなってしまって、「そんなやつとはさっさと別れちまえよ!」と、吐き捨てるような言い方をしたくなってくるのだ。
ところが、恋というものは、始まりもなかなか踏み切るタイミングをはかりかねるものだが、撤収する時もひどく逡巡してしまいがちだ。
たとえば、かなり暴力的な男とつきあっていて、そんなのはもう迷うまでもなく誰が見たって別れたほうがいいに決まっているのに、「でも、たまには優しい時もあるのよ…」などと、唖然とさせられるような言い繕いをして、みすみす、鍵のかかっていない檻から逃げ出そうとしないのだ。
はたから見れば愚かなやつだとしか思えないけれども、そもそも恋には、そんな幻術のようなものが働くのだろう。
実際、多くのDVはそういうものらしいのだ。
のべつに暴力を振るうのではなく、大嵐の合間にぽっかりと青空がのぞくように、突然優しくされる瞬間がある。
いつかは別れるしかないと、頭では分かっていても、その優しくされる瞬間に、腰が砕けてしまうのだ。

さて、津島は、ある取引先からの仕事はもう引き受けないことにしようと、かたく心に決めた。
そこの仕事は、いつもぐだぐだになってしまって、フリーで仕事しているこちらは振り回されるばかりで、いいことは何もない。こちらが書いた原稿を、見るかげもなく書き換えられたりもする。書き直す必要など感じられない原稿でさえ。
ボクがやる仕事は、たいてい文末に[文・写真 津島修三]といったようにクレジットが入る。しかし、見るかげもなく改竄されてしまった原稿など、もはやボクの仕事とは言えないので、過日は少し反旗を翻す勢いで、「できれば今度の原稿にはクレジットを入れないでほしい」と書き添えてやった。
もう、ほとほと懲りたのである。
収入源を一つ失うのは無念だけれど、もう、やめよう。これっきりにしよう。

そう決心をつけていたら、今日、ふいにその会社から電話が入った。
「来月なんですが、一つ取材をお願いできないでしょうか」
「何日ですか? ちょっと予定表を見てみますから」
電話をうけながら、(げっ、オレ、仕事を引き受けようとしてるよ!?)…と、焦ったのである。
「すみません、もうその仕事は勘弁してほしいんですよ」と、答えるつもりでいたのだ。
ああ、津島、金に目がくらんだか。

断るつもりでいた仕事を断りきれなかった。
別れたほうがいいに決まっているのに別れられないでいる恋人たちのことは、笑えないのだ。


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  1. 2008/09/20(土) 01:21:13|
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