
すまなかったね。支配人さんがボジョレーヌーボー勧めてくれてさ。断りきれなくてね。
いいのよ。あなたは仕事で来てるんだから、仕事優先でやってちょうだい。あたしはあたしで楽しく過ごしてるから。このホテルの周りでも、いろいろ写真が撮れて、一人でいても飽きないのよ。
でもねえ、せっかくボクの取材日に合わせて同じホテルをリザーブしたんだから、できれば、少しでも永く一緒に過ごしたいよねえ。
それはもちろんそうだけどね。ま、贅沢は言わないわ。人知れず、こんな秘密めいたことをしているというだけでも、あたしはとっても楽しんでるもの。ねえ、今夜こっちの部屋に泊まってっていい?
えっ、ああ、そりゃあ別に構わないけど、とりあえずそっちのベッドは使わないでくれよ。一応、ボクは一人でこの部屋に泊まっていることになってるから、ベッドが二つとも使ったあとが残るのはヤバいからね。
つまり、この部屋に泊まるんだったら、あなたのシトネにお邪魔するしかないってことね。ふふふ。ね、ところで、指のケガは治ったの? 一人でちゃんとお風呂に入れる? あたし、背中流してあげようか?
ああ、お願いしようかな。今夜は支配人さんとちょっと飲み過ぎちまったけど、せめて風呂くらいはきみと一緒に入りたいものだな。
…と、いうような妄想が膨らむほど、今回の取材旅行はとても快調なものでした。
取材記事の掲載時期を考えると雪のシーンは欲しい。でも、まだ11月中だから雪は期待できず、雪の写真はホテルから借りることにしよう…と。
ところが、取材当日は季節外れの大雪。雪の写真が欲しかった当方としては、この雪は願ってもなかったものだったわけです。
ホテルは取材者のボクに、いい部屋を用意してくれて、夕食時には支配人さんも同席してくれて色々話を聞かせてもらえた上、生ビールを2杯、ボジョレーを1杯ごちそうになり…。これは、ボクのほうから固辞しなかったらいくらでもお代わりできたはず。
こういうことは、まれにあるんですわ。自分のレギュラーの仕事で東北の宿泊施設を泊まりながら取材するということを続けているのだけど、そこの館主や支配人が酒好きだと、取材者のこちらを“ダシ”にして「今夜は一緒に飲みませんか?」という展開になり、挙げ句、次の日に二日酔いになるほど酒を浴びてしまう…。
酒をごちそうしてくれるところとそうでないところとで扱いに差が出ることはないのだけど、それでもやっぱ、「一緒にやりましょうよ」と言ってくれるところは嬉しいものでね。
そんなこんなで、とても気持ちよく宮城県内のリゾートホテルの取材を終えたあと、ついでに山形で別件の取材もやっつけてから秋田に帰ろうとしました。
山形県M市でのついでの取材は、有名なそば店。
土曜日ということもあって大変な混みよう。
店が忙しいときに取材に入るのは礼儀違反だと思っているし、無愛想に断られることだって覚悟しなければならない。
しかし、いっこうに店が空く気配もなく、とりあえず一般客として入店して、注文をとりにきた店の人に、「すみません、私、秋田でライターをやっている者で、こちらのお店のこともどこかで書かせてもらうこともあると思うので、写真とか撮らせてもらってもいいですか?」とたずねてみたら、「いいですよ」と、あっさり承諾してくれた。
普通ね、こういう話はけっこう警戒されるのです。まず最初に「それは広告料とか、かかる話ですか?」と聞き返されたりします。
まあおそらくは、「おたくのお店の紹介記事を書かせてもらいたいと思います」とか言いながら実は有料掲載の話で、あとから請求書を送りつけてくるなんてことがあちこちでしょっちゅうやられていて、だから商売をしている側も、店のことを書かせてほしいという話にはひどく警戒するようになってきているのです。
それなのにこのそば屋ときたら、まったく警戒の素振りも見せずあっさりと「いいですよ」…と。
なにしろ店が混んでいたので、自分が注文したそばが出てくるのにもしばらく時間がかかったけれども、やっと出てきたそばを、まず写真に撮って、それからずるずるとすすって、腹もココロも大満足で、代金を払って帰ろうと帳場に立つと、店のおばさんが他の客に聞こえないように小声で、「宣伝もしてもらうので、お代はいいですから」…と。
あ、いえ、食べた分はちゃんとお支払いしますから…と言っても受け取ってもらえず…。
とりあえずこちらの素性をはっきりさせるために名刺は渡してあったけれども、どんな媒体に掲載するという話もしていないので、ただの“無銭飲食”になってしまいかねない話なのに、なんなのだろう、この鷹揚な対応は!
ボクがよほど信用できる男にでも見えたのかしらん。
山形でも超有名なそばの店なので、取材にも敷居が高いのかなあと、行く前は及び腰だったのだけど、人の情の面でもこれだけ心打つものがあると、いやましてこの店が好きになる。
取材を口実に山形をご婦人と旅する機会があったら、ボクは必ずこの店にお連れしたいです!
テーマ:写真にコトバをのせて - ジャンル:写真
- 2008/11/23(日) 23:06:26|
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こんにちは。
いいですねー。
そば。
私は長野県に行った時にふらっと入った蕎麦屋さんが美味しかったのを覚えています。
これが蕎麦なんだ!
って思ったくらいです。
また行きたいなー。
あぁ、私も秘密の旅行したい(笑)
- 2008/11/24(月) 10:14:27 |
- URL |
- tsukasa #2oMqC0Wc
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特に山形のそば屋は、古民家的な風情のある店が多いのも特徴。
飲食店というより、農家の座敷でそばをごちそうになっている感覚。
ボクが取材で立ち寄ったときも、世の中にこんなにそば好きがいたのかと驚くほど、家族連れやカップルで満席でした。
山形新幹線でばびゅーんと飛んでくればひと息です。
村山駅の改札口で待ってます。
だんなさんに「すぐ戻ります。探さないでください」と書き置き残して、ヒミツの旅にお出かけください。
- 2008/11/25(火) 11:41:24 |
- URL |
- 津島 #-
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取材であちこちと美味しいお店に出会われて良いですね(^^)
わたしは物心ついた時から二十歳ぐらいまで断然”うどん派”で、年越し蕎麦すらうどんを食べていたのですが、学生の頃入っていた旅行のサークルで先輩達にものすごく美味しい蕎麦屋に連れて行ってもらい開眼しました。
奥只見にある一見人が住んでいない古い民家か?と見まごうほどの鄙びた一軒家。
それから”蕎麦派”です。
山形行きたいですが、、、寒さにすこぶる弱いので春まではここより以北は無理ですorz
TVニュースで旭川の凍った川をみて悶絶しています。
9月に行った時は、暑くて真っ黒に日焼けして、東京より暑いじゃないか話しが違うぞ。と思ったくらいなのに。ぶるぶる・・・。
- 2008/11/26(水) 05:02:39 |
- URL |
- ko・ko #1jhbtX.k
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蕎麦は“大人の食べ物”です。
子供の頃にも食堂でざるそばなど食べたことがあったけど、大人になってから、コシのある手打ち蕎麦を食べてみると、「あ、こりゃ、全然違うものだな」と。
通人を気取って、蕎麦屋ではまず日本酒を頼み、それを飲み終わってからおもむろに蕎麦を食す…ということを、いつかやってみたいものですわ。
寒いのが苦手?! そんな軟弱なことでどうする!
暑い季節に暑い土地へ、寒い季節に寒い土地へ行くのが、旅の真髄ではないですか!
シベリアに行けと言ってるわけじゃないんだから、山形くらい足をお運びなさい。きっと、気温とは別の、あったかいものに触れられますよ。
(ちなみに津島は、8月に京都に行ってきたけど、また夏に京都に行きたいかと聞かれたら、…ちょっと考えます)
- 2008/11/26(水) 12:27:06 |
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- 津島 #-
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