
過日わざわざ川崎の国道駅まで写真を撮りに行ったように、(そこでもロケをしている)『幻の光』という映画は、ボクの中では印象深い作品の一つだ。
TSUTAYAから半額セールの案内が届いたとき、なにはさておき、久しぶりにその『幻の光』を観てみようと思ったのだ。
ところが、最寄りの店舗に出向いていくら探してみてもそれが見つからない。
せっかく出てきたのに手ぶらで帰るのも癪だ。
で、代わりになるものを探した。
『濹東綺譚』が出てきた。永井荷風の、あの『濹東綺譚』である。
へえ、濹東綺譚が映画になっていたのか。原作を文庫本で読んでいるので、これは観てみても面白いかも。
結論から言うと、この映画は、原作を忠実に再現したものではなく、小説『濹東綺譚』をベースにしながら、主人公を永井荷風自身に変えて、荷風の後半生のエピソードも織り交ぜた内容になっている。
だから、原作を読んだ人や荷風の人となりをある程度知っている人でなければ、この映画の隠し味のきいた面白みは分からないかもしれない。
主人公がなじむ私娼・お雪を、墨田ユキという女優が演じている。
この人がなかなかいい。やや素人っぽく、女優女優していないところがいい。
私娼の役なので肌を露にするシーンもあるのだけど、観ているこちらがどきりとするような大胆なシーンもある。はて、この映画が製作された1992年には、このような描写は許されていたのだっけか。
DVDを観た後からちょっとネットで調べてみたら、この人は元はAV女優で、濹東綺譚のオーディションを受けて役を得たものらしい。
作品の軸となる重要な役どころなので、それを彼女が演じたのは正解だったと思える。
今は結婚して芸能界を引退しているようなのだけど、幸せに暮らしているのかしらん。
どこか薄幸の影のある儚い気配の女性に思えたので、「幸せでいてくれたらいいのだけどな」と、思わず、自分自身のかつてのなじみの女性でもあるかのような感慨を、持ったのだった。
テーマ:写真にコトバをのせて - ジャンル:写真
- 2008/11/13(木) 12:24:29|
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