津島修三ブログ

カメラマン兼ライター津島/愛と妄想のブンガク的空間

彼女と45分

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人にインタビューをして、それで一本の記事を書くことがある。
インタビューが一問一答形式になるときはその場でメモをとって、あとからそれを見ながら記事にまとめるのだけど、相手のコメントの一つ一つが長くなりそうなときは、あらかじめテープを回して、その場では雑談的にリラックスして話をする。
こちらも、いちいちメモを取る煩わしさがないから、話の流れがスムーズになるし、相手のコメントに呼応してアドリブ的な質問を投げかけてみたりして、仕事とはいえ、それはなかなか充実したひとときになるのだ。

取材から戻ってくると、イヤホンを耳にして、テープを再生して、いわゆる「テープ起こし」という作業にとりかかる。
話の一区切り一区切りごとにテープを止めてワードに書き留め、また少しテープを巻き戻して再生したりして、わずか45分の収録テープでも、文字に書き起こすにはかなりの時間を要する。
テープ起こしが済むと、今度はこれを基にレジュメ(本原稿の想定あらすじ)を書いて、一旦編集部に送ってチェックを受けて、そこで微調整など行って本原稿の執筆に入るのだ。

今日はレジュメを書いて編集部に送るところまでこぎつけた。
後刻ダメ出しもあるかもしれないが、一週間後の本原稿の締切まで、とりあえず一区切りついて、今週末は少し息抜きして過ごせるのではないかと思っているのだ。

今回インタビューしたのは、ある伝統地場産業で父親から会社を引き継いで社長をやっている女性だ。
取材中も感じたことなのだけど、あらためてテープ起こしで読み返してみると、この人がいかに今の事業を愛し、情熱を注ぎ、夢を持っているかが、切々と伝わってくる。
ここからライターが記事を書き起こすなどというまだるっこしいことをしなくとも、いっそのこと、このテープ起こしをそのまま活字にしたほうが、よほど面白い記事になるのではないかと思うのだ。
もしボクの意見が通るのならば、「ぜひそうしましょうよ」と強くプッシュしたいところなのだけど、今は“システム的に”それはかなわない。
すごく新鮮で魅力的な食材が目の前にあって、それは生で食べるのが一番美味しいのに、世のしがらみで、加工したものでしか人前に出せない…といった感覚。
「このまま食べてもらうのがほんとは一番美味しいのにな」と、取材者として少し歯がゆく思う瞬間だ。


さて、ここからは写真の解説。
上の写真、一見何の変哲もない通勤電車の車内風景ですが、ちょっと奇妙なものを感じませんか?
向かい合って座っている乗客の間隔がずいぶん狭いのです。車内を移動するのに、座っている人の足に触れないようにかなり神経を使わなければいけないほど。
そう、この電車は、まるで遊園地の豆電車のように、車体がとても小さいのです。

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窓越しに見える運転士の姿からしても、車体の小ささが分かるでしょ?
ここは三重県の桑名市。電車は三岐鉄道北勢線と言います。つい数年前までは近鉄の路線の一部でした。
天下の近鉄の路線でありながら、いろんな歴史的経緯で、21世紀の現在までトロッコ電車のような、レール幅の狭いままで残った奇跡的かつ世にも珍しい鉄道なのです。(同じような歴史的背景を持つ路線が四日市にもあります)
新幹線の軌間(レール幅)は1435mm、JRの在来線は1067mm、それに対して北勢線はわずか762mm(こういう数字がすらすら出てくるところがいかにも鉄ちゃんらしいでしょ)。新幹線のほぼ半分のレール幅しかないのです。両手を大体760mmくらいの幅に広げてみてください。いかに狭いかが実感できるでしょう。
車体を横から押したら、簡単にコテンといってしまいそう。
こんな遊園地の乗り物のような電車が、大都市名古屋近郊の桑名で、地元の人たちの生活の足として元気に走っているというのを、とても面白く感じたことでした。

犬山市の明治村で遊んだあと、東京に戻る電車までの時間、桑名に足を伸ばして、前々から興味を持っていた北勢線に念願の初乗車を果たしたのでした。
青春18きっぷだったので、“名古屋のついでに桑名”まで寄り道しても、交通費がかかり増しになることはありません。
旅の醍醐味は寄り道だ。人生の醍醐味も寄り道だ。うん、きっとそうだ。(と、自分に言い聞かせる)



テーマ:写真にコトバをのせて - ジャンル:写真

  1. 2008/08/29(金) 00:40:48|
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