
このホテルの全容は、ほとんど人目には分からない。
なぜならば、離れ形式でわずか10室しかない客室は、雑木林の中にすっぽりと包まれていて、外からはこのホテルのスケールが分からないようになっているのだ。
否、そこにホテルがあることすら、世間には伏せいているような、オトナの隠れがのようなホテルだった。
オーベルジュを名乗るだけに、食事は素晴らしかった。
シンプルな白い器。
器をシンプルにするのは、料理そのものに自信があるからだ。
豪華さと上質さをはき違えた“高級風”ホテルは、派手な器で客の目を眩まそうとする。
広めの畳の部屋に、二つ並べて敷かれている羽毛の布団。
「ちょっと、寒くなってきたわね」
「こっちに、くればいいじゃないか」
「んもう、どうせ最初っから、そういうコンタンだったんでしょ?」
そう言いながら、しかし、まんざらでもない顔つきで、浴衣の前を少し合わせ直して、あなたはボクの布団に滑り込んでくるのだ。
ボクの胸に顔を埋めて、小さく深呼吸するように、あなたはささやく。
「あったかい」
と、いうような妄想に耽りつつ、最上級の料理のおいしいホテルに一人で泊まりながら、料理の写真を撮り終わって、それをみずからの晩飯にして、翌日が締切の原稿をなんとか間に合わせるため、持参したノートPCで朝の3時半過ぎまで原稿書きしていた津島であった。嗚呼…
テーマ:写真にコトバをのせて - ジャンル:写真
- 2006/10/30(月) 22:51:51|
- OLYMPUS E-300
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津島さん、おはようございます(^O^)/
妄想と現実ですね。写真家ってある意味妄想が出来るか出来ないかで違ってきますよね。(私だけがそう思うのでしょうか?)
撮影したものを加工するにしても何か文章を付け加えるにしても…。
人に妄想させる人もそうですよね。
かなり自分の主観が入ったものでも頭の中にその光景を浮かばせることが出来るのっていいですよね。
写真って平面的だけどどれだけ見た人に想像と五感の刺激を与えれるかが難しいところですがf^_^;
そうなりたいものです。
- 2006/10/31(火) 08:37:02 |
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- 水無月 #-
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>瑠衣さん
>でも、普段から美味しい料理を…
これで普段は案外粗食なんですよ(^^;
どうも食べ物に対する執着心がなくて。
カレーは好物で、一日三食365日カレーでもいいくらいだけど、だからって、「旨いカレーを食いたい!」って、名店を訪ね歩くほどの情熱もない。
ま、言い換えれば、「なんでも美味しくいただける」…ってのが、取り柄なのかも。
女性も?
さあ、それはどうかしらん(^^;
>水無月さん
ただ単純に美しいものが美しく写っている写真も好きだけど、余韻…というか、想像力をかき立てられるものがそこはかとなく感じられる写真が、ボクは特に好きですね。撮るのも見るのも。
“妄想力”は、表現者に必要な重要なエレメントの一つかも(^^)
- 2006/11/01(水) 12:17:26 |
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- 津島 #-
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