津島修三ブログ

カメラマン兼ライター津島修三のブログ

木曽路にて

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今からちょうど2年ほど前、ボクはある“女”に逢うために名古屋まで行ってきた。
例によって金がないので、一番安上がりなクルマで行くことにした。
秋田から新潟、松本を通って、木曽路に入るルートで往復するのである。
行きは松本のあたりで、帰りはこの写真の奈良井宿のあたりで空き地にクルマをとめて仮眠して、つごう二泊三日とんぼ返りの強行軍であった。女に逢いにいくのも命がけなのだ。
女といっても実は故人で、昭和19年に37歳の若さで亡くなっている秋田生まれの“美人”作家矢田津世子のことだ。
芥川賞候補になった作品もあるが、文学史全体の中では特に有名な作家とは言えないかもしれない。しかし、なにしろ彼女は“美人”なのだ。ボクも、彼女にあの美貌がなかったら、彼女には関心を示さなかっただろう。なんだか、悲しく切ない美しさなのだ。
津世子はしばらく名古屋で暮らしていたことがあり、こちらも、きれいなお姉さんに惚れてしまって病膏肓、何が何でも一度名古屋までいかねばならないと思い込んでの長駆であった。
津世子は、同時代の作家坂口安吾に愛されはしたが、どちらかといえば、十分に満ち足りた幸せな生涯ではなかったように思われる。
幸せに生きても一生、不幸に生きても一生。不公平なような、しょうがないことのような…。
木曽路はずっと雨に濡れていた。
 
 

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  1. 2007/02/28(水) 15:19:40|
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今宵、地球の裏側で

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逢おうと思えばいつだって逢えるほどの近い距離にいるのに、昔のようにはもうお互いのぬくもりも確かめ合えないなんて、どれだけ魂が引き裂かれる思いか。
いっそのこと、地球の裏側に離れて暮らして、「もう自分たちは逢いたくても逢えないんだ」と諦めたほうが、ずいぶんと心が安らぐことだろう。
せめて今宵、ボクは心の中で、あなたとのあいだに深く大きな海をつくって、「こんな海が二人を隔てているのだから、逢いたくたって逢えないのだものな」と諦めて、眠りにつくことにしようと思う。
幸せな想い出は、時々少し残酷です。
 
 

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  1. 2007/02/27(火) 01:22:17|
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恋愛犯罪者

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どこかの航空会社のキャプテンが、同僚のCAの部屋に盗聴器を仕掛けたカドでつかまってしまった。
あーあ、やってくれちゃったね。津島は、小さくため息をつく。
恋愛者と犯罪者は紙一重、本人は恋愛の延長線上のつもりでいても、いつのまにか、自分でも気づかぬうちに犯罪の領域に足を踏み入れてしまいがちなのが、“恋心”というものの危うさなのだと思う。
被害者であるCAの側の恐怖、憎悪、失意、無念にも、大いに同情するけれども、恋の迷走をしてしまったキャプテンにも、ボクは大いに同情を禁じ得ない。
恋の燃料が尽きたのなら、ひとまず近くの空港に着陸して、旅はそこで断念をすればいいのだ。
「まだ飛びたい」「まだ飛べるはずだ」という錯誤が、誰も何も得るもののない恋の終焉になってしまう。
今回は男が加害者になったわけだけど、当然のように逆のパターンもある。
女でも、自分では“恋愛行動”をしているつもりが、客観的に見ればそれは限りなく“犯罪的”である場合も少なくない。
つらつらと、我と我が身を振り返ってみても、昔、ボクが女性にふられたとき、「ははーん、さては新しい男でもできたな」と、根拠もなく思い込み、なんとかしてしっぽをつかんでやろうと汲々としたことがあった。
今であれば、そんなことをしてもなんのプラスにもならないと分かるのだけど、渦中の頃は、そうでもせずにはいられないと、激しく思い込んでしまうのだ。
きっと、新しい男ができたからボクと別れたかったのではなく、ボクと一緒にいたくなかったからボクと別れたかった、つまり、問題はたぶんボクの側にあったのだろうに、そこをうやむやにして、“ボクを捨てた彼女”への、“憎しみ”に近い感情が、恋愛者であったはずのボクをいつの間にか犯罪者の世界に引き込もうとするのだ。

はっきり言います。
恋愛者は、いとも簡単に犯罪者に豹変します。
何があっても最後まで恋愛者でいられる人は、むしろ少ないかもしれません。
そして、これから恋をしようとしているとき、あなたの目の前にいる人がどちらのタイプであるかなどということは、そうそう簡単に見分けられるものではありません。
それでも、一緒に歩き始めた途中ででもいいから、「あれ?」と違和感を覚え始めたら、大いに警戒して、それからの日々を慎重に過ごすべきです。
犯罪に変異する恋愛は、どちらにとっても、大変な人生の損失になります。
 
 

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  1. 2007/02/26(月) 16:38:45|
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やわらかな気分

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これは決して、わがままでも贅沢でも身勝手でもないと思うのだが、ボクは、“やわらかな気分”で日々を過ごしたいのだ。
勝ち組になるとかテッペンを目指すとかではなく、ボクはただただやわらかな気分で生きて、やわらかな気分で死んでいきたい。
同性異性を含めて、そんなには人に執着しないけれども、どうせつきあうのであれば、やわらかな気分でつきあえる人がいい。ボクとつきあっていて、その人もやわらかな気分でいてくれるのなら、なおいい。
何人かの友人たちとは、やわらかな気分でいられなかったから縁を切ってきた。
今でもつながっている友人たちは、ボクがやわらかな気分でいられる人たちだ。
世の中は、人生は、決して平坦ではない。
越えられないかもしれないと思えるほどの険しい峠も待ち構えている。
だからせめて、人と人とは、やわらかな気分でいられる間柄がいい。
 
 

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  1. 2007/02/24(土) 18:23:36|
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不倫旅行未遂

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ボクは、年に6ヶ所の温泉を取材するという連載を5年余り続けている。
それとは別に、今年は10ヶ所の温泉を取材するという1年限りの企画も受け持っている。今年一年で都合16ヶ所の温泉に泊まることになるわけだ。
更に更に、年6回シリーズのフォトエッセイの連載もあり、これの取材にかこつけて旅をすることも多い。先日小樽に行ってきたのもそのパターンだ。このフォトエッセイはギャラが一律で決まっていて安いので、遠くまで出かけていたら赤字になってしまう。それでもちょくちょく遠出する。あくまでも、“取材にかこつけた旅行”なのである。
こんなに出歩く機会が多いのに、それでもプライベートでも旅行をしたいと思ってしまうのだから、まさに、旅に病んで夢は枯れ野をなんとやら…だ。
そういえば、青春18きっぷを使ってどこかに旅をしたいものだと思っていたのだけど、釧路に親戚がいたのを思い出し、行けばたぶん歓待してくれるだろうから、(宿代も浮くし)ここはひとつ、釧路を目指す鈍行列車の旅にしようかしらん…などと、夢は雪野をかけめぐるのである。

温泉取材については、今年はすでに2つ消化したけれども、そろそろ次の取材に入らなければならない。実は、これが意外に難産だった。
年間取材スケジュールに沿って、取材の申し入れをしようといろいろ調べていたら、直前になって、予定していた宿が冬期休業中ということが分かった。迂闊だった。
急遽、順序を入れ替えて別の温泉宿に取材を申し入れた。電話で交渉すると快諾してもらえたのだが、話を進めているうちに、「ああ、そういう趣旨の取材だったら、うちではなく、同じ温泉郷内の○○湯をぜひ取材してください」と切り出してくるのである。
個人的には、今電話をしている宿が気に入っているので是非そこを取材したかったのだけど、その宿の主人が「違う宿を是非取り上げてくれ」というのである。珍しい申し出だ。
ちょっと迷ったけれども、それがその温泉郷全体としての“総意”なのだとすれば、その意向も無視するわけにもいかない。
あまり意識したことがなかった温泉宿だったけれども、ネットで調べてみたら、案外悪くなさそうである。意外な拾い物になるかも。
というわけで、二転三転したけれども、いい方向に落ち着いたと思う。また、楽しみな“小旅行”ができそうだ。

何度も自慢げに(^^;語っているけれども、津島には“女友だち”が少なくない。
ただ、女友だちといっても、1年に1、2回会う程度とか、数年ご無沙汰しているヒトとか、こちらでは未だトモダチのつもりでいても相手からはもうどうでもよくなっているようなパターンもある。
悲しいのはこういうブログのログ解析で、時々チェックすると「あ、彼女、また見にきてくれている」と知ることになるのである。
たとえば、最近はもう「逢いたいね」などと言われることもなく、仮にボクのほうから「今度逢わないか」と申し出てもやんわりと拒絶されるとかえって辛くなるので、こちらからも切り出さなくなってしまう。
いっそ、ボクのブログを見に来なくなってくれればいいのに、ときどきチラチラとそのヒトの姿が見え隠れるすると、恋のピエロのボクは自分の寂しさを隠して、そのヒトが喜びそうなネタフリをしたりするのである。

まあ、ボクが言うところの“女友だち”というのは、その程度のカンケイの間柄がほとんどなのだ。
それでも頻繁にメールをやり取りしていた頃などは、「ボクはこの日、取材でこの宿に泊まっているから、キミも同じ日、都合をつけて一人旅に出てその宿に泊まることにすればいいじゃないか。そうすればボクたちは堂々と逢瀬を楽しめる」「あら、それはグッドアイデアね。楽しみだわ。ワクワク♪」と、かなり盛り上がるのだが、そんな艶かしいタクラミが実現したことは、ただの一度もなし。(きっぱり)
 
 

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  1. 2007/02/23(金) 13:17:10|
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捨てないでおく写真

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今ボクは、しきりに、自分の撮った写真を消去する作業をしている。
仕事で写真を撮るときなどは、保険の意味も兼ねて多めにシャッターを切るのだが、一旦OKカットをハードディスクにストックしてしまえば、その前後のNGカットは持っていても意味がない。そういうカットはためらわずにじゃんじゃん捨てる。そんなに悪くはないカットでも、自分のテイストではないなと思ったらあっさり捨てる。
急いでやらなければならない作業ではないけれども、逆に、忙しくなったらやっていられない作業でもあるので、ちょっとでも時間のあるときに集中的にやっておきたいと思う。

そうやって写真を整理していると、その写真を撮ったときのことなどが思い出される。
「あれ? こんな写真があるけど、こういう場所にボクが一人で行くわけはないから、このときは誰と一緒だったんだろう。ははーん、きっとK子ちゃんだな。そうかあ、あれはこの日だったのか…」などと、写真を整理しながら、しばしその日のことを思い出したりしているのだ。
写真には誰も写っていないけれども、そこには、ほっこりとした気分で過ごしたその日のボクがいる。
もちろん、そういう写真は、捨てずにとっておく。
 
 

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  1. 2007/02/23(金) 00:04:25|
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バスを降りたらユキコのクレーム

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井上ひさしのように“遅筆”を売り物にできるくらいになれればいいけど、「あいつは仕事が遅いからもういいや」と言われやしないかと、いつもびくびくしながら、おのれの仕事の遅さを呪っている津島である。
昨日、やっと連載記事の原稿を書き終わって、取材で撮ってきた写真と一緒にCDに焼いて編集部に届けた。
この連載記事のエディトリアルデザインはユキコの担当だ。かれこれ30回以上、彼女とのタッグで連載を続けている。手前味噌ながら、そこそこ評判の悪くないボクの連載記事も、ボク自身の力量というよりも、センスのいい彼女のエディトリアルデザインにかかるところが大きい。
原稿を届けると、誌面展開についての若干の擦り合わせと、雑談タイムだ。
長く無駄話をしているわけにもいかないが、衝立ての陰で声が外に漏れないように、ボクたちはひそひそと私語を交わすわけだ。
ボクの他愛もない冗談話に、クックと声を押し殺して笑うユキコの笑い方がボクは好きだ。
彼女はボクのこのブログもチェックしているので、仕事をしているフリをして遊びに行っていてもバレバレなのである。
「あのプロフの写真、よくないわ。白飛びしちゃって」
「ええ、そうかあ? おれは結構気に入ってるんだけどなあ…」
「最初の頃の、猫と一緒に写っているほうがよかったわ」
「オレの顔が写ってないほうがいいってか」
「そうじゃないけど」

しょうがない。
ユキコに言われたんじゃしょうがない。
彼女が好きでないという写真をずるずると載せっぱなしにしておくのも心苦しい。
いつかもっとちゃんとしたプロフ写真を撮って載せるとして、暫時、初期のプロフ写真にもどして、“動物になつかれる心優しき津島”キャラで行くとするか。

我が家から編集部まで、乗り換えなしで行けるバス路線があるのを知って、お試しを兼ねて乗ってきたのだけれど、ぽかぽかと、この季節らしからぬ陽気に促されて、帰りは5キロの道のりをのんびり歩いてきたのであった。
 
 

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  1. 2007/02/21(水) 12:13:17|
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曖昧な記憶

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今日は休日恒例の、奥さんとの温泉巡りをした。
初めは、にかほ市の「ねむの丘」という道の駅の中にある温泉を目指したのだが、秋田市からだと結構遠くて途中で飽きてきて、「もういいや。その辺の温泉で間に合わせよう」と、同じにかほ市内の金浦温泉に急遽行き先を変更した。
「その温泉って、あたし行ったことある?」…と、奥さんは聞いてくるのである。
自分で行ったことがあるかどうかも覚えていない奥さんもずぼらだが、実はボクのほうも記憶が曖昧で、うっすらと、誰かと一緒に行ったことがあるような気がするのだけど、それが奥さんだったかどうかという確証がない。(もしかしたら、他のヒトかもしれなかった) あるいは、行くには行ったけれど、単身だったかもしれない。非常に記憶が曖昧なのだ。
「えぇと、キミと来たことなかったっけ?」…と聞き返してみたのだけど、あまり白黒はっきりさせようと話を続けていたら墓穴を掘りそうだったので、その話はそのあたりでうやむやにした。

こういう話には逆のパターンもあって、奥さんがどこかに行ったときの話を、さもボクと一緒に行ったかのように話し始め、「おいおい、ちょっと待てよ。オレはそこには行ってないよ」と口をはさむと、「あら、じゃあ、違うオトコだったかしら」などと、しれっとして彼女は言うのだ。
まあ、そういうことはボクら夫婦にはあまり重要な話でも深刻な話でもないので、そういう話は大体そのあたりで終わってしまう。

「ねむの丘」だったら記憶違いはなく、奥さんを含めて、ボクは3、4人ほどの女性と行ったことがある。「この前キミと来たときにさあ…」「あら、あたしは来てないわよ」なんていう気まずい会話にはならないのだ。

かつて、ネットを通して知り合った女性が仙台にいて、「久しぶりに秋田に行って、しゅうちゃんと飲みたいなって思ってるんだけど、つきあってくれる?」と言うので、「おうおう、いくらでもつきあってやるよ。いつでもおいで」と言っておいた。
彼女は総合職で、バリバリと仕事をこなし、同時に家庭人としても最善を尽くしていた。そして、仕事のストレスを発散させるために時々休暇をとっては一人でクルマを運転して日本中行きたいところに行くのだ。仙台から秋田に来るくらいは、彼女にとってはちっともおおごとではない。
今度の旅の一番の目当てはボクと飲むことだったから、彼女は秋田市内にホテルをとり、徹底的に飲む構えでいた。
明るいうちに秋田に着いたので、じゃあ少しドライブをしようかと、ボクは彼女と二人で海沿いの道を走って「ねむの丘」まで行ったのだ。
湯船につかったまま水平線を眺められる食塩泉の展望浴場でさっぱりして、秋田市まで戻り、ボクらはたっぷりと時間をかけて語らいながら酒を浴びる。そして、宿泊先のホテルに彼女を送って、今回の逢瀬はそれでお開きだ。明日には彼女は勝手に一人で仙台まで帰っていく。

数日後、彼女から一通のメールが届いた。
「実は、秋田から帰ったあと、主人の機嫌がものすごく悪くて…」
あっちゃー、後味悪い結果になってしまったなあ。
ボクらは、ほんとにただ一緒に酒を飲んでいただけだから、彼女としては後ろめたい気持ちはなく、正直に秋田でのことを話したのだろう。
それがよくなかった。
やましい気持ちがなければ何でも正直に話していいというものではない。相手に余計な疑念を持たせたり、もやもやした気持ちにさせたりしないように、時にはテキトーなウソをつくことも必要だ。
秋田でたった一人の男に会ったのではなく、“数人の秋田の友人”と会食したことにするとか、あるいは、秋田では誰とも会わず一人で遊び回っていたことにしておけば、きっと旦那さんの機嫌を損ねることもなかったのだ。
旅先で男女のことはなかったとしても、一緒に親しく酒を酌み交わす異性の友人がいるというだけでも、面白くないと思う亭主は少なくないだろう。
バカ正直であることがベストではないのだ。
ときには上手なウソをつく…、それも優しさのうち、愛のうち、なのかもしれないのだ。
 
 

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  1. 2007/02/19(月) 00:38:03|
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波間の二人

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「不思議だわ。海って、何時間見続けても飽きない感じがするわ」
「海は、スポンジみたいなものかもしれないね」
「スポンジ?」
「そう。何かね、人の心の中にある、もしかしたら自分自身でもあまり気づいていないようなもやもやまで、全部吸い取ってくれるようなスポンジ」
「ああ、わかるわ。絶景を見たときの感動とはちょっと違って、気持ちがなんだか穏やかになるっていうか、癒されるっていうか」
「男と女もおんなじかもよ」
「どんな風に?」
「絶景、つまり、見た目のいい男とか見た目のいい女というのは、ちょっとはときめかされるけど、結局はそれだけ。穏やかな気持ちにさせてくれたり、癒してはくれない。なんだか、こちらもいつもアクセルを踏み加減にしていないといけないみたいな。気持ちを穏やかにさせてくれたり、癒してくれるような存在が、ほんとは一番心地いいんだ」
「あなたは、あたしと居て心地いい?」
「そうだねえ。キミと居て飽きることがないから、心地いいんだろうねえ」
「そう。あたしはあなたにとって、“飽きない存在”なのね。それって、喜んでいいのね?」
「もちろんさ。人を飽きさせないというのは、実はすごいことなんだと思うよ」
「まあ確かに、あたしもあなたと居て、飽きたということはないからね。あなたはあたしにはなくてはならない存在よ」
「そうして二人はやがて、白いシーツの波間に浮いたり沈んだりしながら、ときどき微かに漏れる相手の声を頼りに、離れないように離されないように、乳房であれ陰茎であれ、しがみつけるところには爪を立ててでもしがみつき、ここで一緒に生きていることを確かめあうわけだ」
「ったく、結局あなたの話はいつもそこに行き着くのね…」
 
 

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  1. 2007/02/17(土) 23:37:28|
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Tsushimaほのぼの劇場

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『視力検査』

「えぇっと、見えません」
 
 

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  1. 2007/02/17(土) 12:35:56|
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キミと二人、電車に乗って

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火曜日の温泉取材は、久しぶりに電車で出かけた。
各駅停車の電車だったけれど、これはボクにとっては、とても贅沢な旅だ。
クルマで行けば1300円程度のガソリン代で済むところを、倍以上の電車賃がかかっているのだから。
でも、やはり楽しかったなあ。
自分の中の“鉄道マニアの血”が、とても喜んでいるのだ。
一昔前だったら考えられなかったことだけど、今はJRにも女性の車掌がいるのだね。
秋田から酒田に向かう各駅停車の電車の車掌が若い女性だった。
途中には無人駅も多いから、きっぷを売ったりドアの開け閉めで、車内を行ったり来たり、なかなか忙しい。
鉄道で働こうという人は、やはりもともと鉄道が好きだったから…というのが多いと思うのだけど、彼女も、好きで入った世界なのだろうか。
車内を巡回して一番前まで来ると、運転室に入って、やはり若い男性の運転士と、楽しそうに何やら私語を交わしている。いいなあ、屈託がなくて。
車掌という仕事は、運転士になるためのステップでもあるから、もしかしたら彼女は、運転士を目指しているんだろうか。
納得のいくまで、自分の選んだ職業生活を満喫してほしいものだと思ったことだった。
 
 

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  1. 2007/02/15(木) 17:08:23|
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うたかた、恋心ほのかに

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ゆうべ、ボクは温泉旅館に泊まっていた。
そこはかなり高級な部類の温泉宿で、食事は朝夕とも部屋食。着物の着こなしも上品な年配の仲居さんが部屋ごとについてくれて、お茶をいれたり御飯をよそったりビールをついだりと、ずいぶん甲斐甲斐しい。
客が求めれば、食事が済むまで部屋にとどまってくれて話の相手になりながら給仕をしてくれるのかもしれない。
がさつなボクは、そういう人に張り付かれるとかえって落ち着かなく、“あとは自分でやりますからどうぞお引き取りください”と、腹の中で願うのだ。
向こうもそういう気配を察するのか、「それじゃ何かありましたら電話でお呼びください。すぐに参りますから」と言いおいて、部屋を出ていく。
ボクがもう少し寂しがり屋だったり、“女好き”だったりしたら、「いやいや、よかったらもう少しここにいてくださいよ」というところかもしれないが、まあ、女性も嫌いではないけれども、こういう一対一はちょっと気まずく、できれば早々に一人にしてほしい、と思ってしまう。

その彼女自身は、品もあって好ましい印象ではあった。
年配ではあったけれども、年のころは、ボクと同じくらいか、あるいは少し上くらいか。
もし彼女が、もう少しくだけた感じで話しかけてくるような人だったら、ボクも最初からもうちょっと馴れ馴れしく彼女と言葉を交わすことになっていたかもしれないが、おそらく、この宿の格式が、従業員をこれ以上客の前ではくだけさせないのだろう。
この人は、幸せに生きてきた人なのだろうか。
見た目からは、すさんだ感じや幸薄い印象は受けず、むしろ、平和な家庭の主婦のようでもある。ただ、温泉旅館の仲居さんをやる女性の中には、いろいろな人生を背負ってきた人も少なくなく、大きな宿になるとそういうことを心得ていて、従業員用の寮を建てて独り身の女性に住み込みで働いてもらうのだ。
まさか面と向かって「あなたは幸せでしたか?」と聞くわけにもいかず、少しもどかしい気持ちになりながら、ほのかな恋心にも似たもやもやで、この人がよそってくれた朝食の御飯茶碗を両手で受け取り、微かに触れた指に、少し嬉しい気持ちになるのだ。
 
 

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  1. 2007/02/15(木) 00:37:20|
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青春18きっぷ

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JRには定額で普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」というものがあって、毎年期間を限定して発売される。このきっぷが使える期間は、鉄道旅行ファンには“お祭り”のように心浮き立つ日々だ。
しかも、今年はちょっと特別な年。4月1日でJRの発足20周年を迎えるのを記念して、いつもの年なら5日間乗り放題のきっぷが11,500円のところ、今年は大盤振る舞いの8,000円なのだ!
漂泊の詩人(ぷっ)津島は、この点に大いに注目するのである。
以前、つれづれに時刻表で調べてみたことがあるのだが、5日もあれば、秋田から鈍行列車を乗り継いで道東の網走や知床のあたりまで行ってこれるのだ。
道東に限定するわけではないが、安上がりの旅が大好きな漂泊の詩人は、とにかくこの機にまた旅をしなければ!…と、強迫観念のようなものに支配されるのだ。
ほんとうはまたニューヨークに行きたいのだけど、どう安くあげても8,000円の10倍はかかってしまうので、とりあえず今回は8,000円の旅で手を打つことにしよう。
いつもいつも一人旅では奥さんに申し訳ないので、一応誘ってみることにした。「こんなに安く遠くまで行ける方法があるんだよ」…と。
ところが、奥さんからはあっさりと却下された。
「短い時間で目的地にたどり着く方法がいくらでもあるのに、何が悲しくて一日中一番遅い列車に揺られていなければならないのか」…と。
ああ、一日中のんびりと列車に揺られているというのがどんなに魅惑的なことかというのは、やはり「汽車旅好き」の発想に過ぎないのか。うーむ、価値観の相違ってやつだな。
結果も大事だけど、プロセスも楽しまなくちゃ。恋愛と同じように。

「いいよ。じゃあ、オレ一人で行ってくるから」
なんだか、寂しいような嬉しいような妥協の末、漂泊の詩人のココロは旅に病んで、夢は枯れ野を駆けめぐるのである。
 
 

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  1. 2007/02/12(月) 11:56:45|
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街角のマボロシ

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用事で街に出た帰り道、クルマで大きな交差点を通りかかったら、横断歩道の前に女性が一人立っていた。
さほど気にも留めずに通り過ぎたのだが、少ししてから「あれ、まてよ」と、ちょっと急にその人のことが気になったのだ。
クルマの流れもあったので、止まることもできず、よく確認することもできず、そのまま家に帰ってきたのだが、もしかしたら彼女は、ボクの“知っている人”かもしれなかった。
6年ほど前、ボクは一人の女性と逢うことがあった。それは短い期間だったけれど、彼女と出会えたことは、僕にとって人生の1つの小さなアクセントだったと思う。
6年ほど前の短い期間ののちはまったく再会することもなかったので、さっき横断歩道の前にたたずんでいたのがその人だったという確信はないのだけれど、逆に、ボクの記憶の中にある彼女の面影に6年という歳月を加味すれば、ちょうどあの横断歩道の人のようなたたずまいになるではないかと、交差点をしばらく過ぎてからふと思ったのだ。
彼女のパートナーは転勤のある人だったから、6年もの月日が流れれば彼女ももうこの街の人ではなくなっているかもしれず、二度と彼女と逢うこともないだろうと、ボクは諦めてもいたし、安心もしていたのだ。
それなのに、今になって、かつて彼女が住んでいたマンションの近くで“彼女らしき人”を見かけてしまったことに、ボクは少し動揺するのだ。
あれは、ボクの潜在意識が呼び起こした、彼女のマボロシ、だったのだろうか。
 
 

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  1. 2007/02/10(土) 21:34:38|
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2月に彼女は風邪をひいていた。

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25年あまりも昔の2月に、ボクは北海道を旅していた。
ちょうどそのころつきあっていた彼女が2月8日の誕生日だったので、ボクは土産にホワイトチョコレートを買って、旅から帰ってから彼女のアパートを訪ねた。
彼女はベッドに入っていて、風邪をひいていたせいで機嫌が悪かったのか、「バレンタインも近いというのに男の人からチョコのお土産ですか」などと、ちょっと皮肉っぽいことを言われたように、うっすらと記憶しているのだ。

そのときの彼女というのが今のボクの女房なのだけど、いつもの彼女の誕生日なら、ボクがケーキやテーブルワインを買ってきて家でちょっとだけ賑やかな夕食パーティとなるのだけど、今日は彼女のほうから「今年は二人で外で食事しない?」と、めずらしくイベントを持ちかけてきた。
ボクは一日家で仕事をしていて、彼女は会社に行っていたのだけれど、一旦帰宅してしまうと改めて外出しづらくなるので、時間を示し合わせてボクがそっと家を出て(ワケありの女にでも逢いにいくように…)、会社を退出して家の近くのコンビニの駐車場まで戻っていた彼女のクルマに乗り込み、駅前の複合ビルの最上階の展望イタリアンレストランを目指した。
窓際の席に案内されると、視界いっぱいに秋田市の夜景、眼下には秋田駅に出入りする列車がNゲージのように面白く目に飛び込んできた。
ちょうど、大阪行きの寝台特急「日本海」が出発していくところだった。
「ほら、オレたちが新婚旅行に乗った寝台列車だぜ。ところでさあ、結婚前にオレが北海道に旅行して土産を持ってキミのアパートに行ったらキミは風邪で寝込んでいたんだけど、覚えてる?」
まるで記憶がない、と彼女は言うのである。
ながく同じ時間を過ごしてきても、必ずしも心の隅に引っかかっている記憶が同じとは、限らないのかもしれない。もしかしたら、彼女が忘れようとしても忘れられないことでも、ボクのほうは完全に記憶を失っていることだって、あるのかもしれない。

ボクはものぐさなほうだから、今日の外食の提案も、正直なところ少し億劫だったのだ。でも、先日のボクの北海道一人旅も気持ちよく許してくれたし、明日もボクの仕事で朝4時過ぎには家を出なければならないのに一緒に起きて途中まで送ってくれることになっているし、たまには女房にもサービスしてやらないとね。

楽しく語らいながら食事を終えて、エレベーターで1階まで降り、駐車場まで向かう途中にゲームコーナーがあって、何を思ったか彼女が「プリクラをやろう!」と言い出すのだ。
ここまできたらもう、とことん、何だってつきあいますぜ。
おたがい、もういい歳のおじさんとおばさん。「え、どうすんの?どうすんの?」と、操作方法におろおろしながら、小さなボックスの中でふざけたポーズをとりながらカメラに写るわけだ。
「え、やだ。シワまでちゃんと写ってる」などと不満そうなことを言うが、どうしてどうして、亭主の目から見れば、なかなかチャーミングに写っているプリクラの女房だ。
 
 

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  1. 2007/02/08(木) 23:37:23|
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旅の目的

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ボクの今回の旅のキーワードの1つは、“小林多喜二”だった。
作家小林多喜二は、秋田で生まれ、あまりに貧しい生活から抜け出すべく親戚を頼って一家をあげて小樽に居を移した。
多喜二一人のことであればボクもあまり感懐は湧かなかったのだけれども、三浦綾子の小説に、多喜二の母親のモノローグという設定の作品『母』があることを知り、それを読んでいるうちに、多喜二一家の小樽での日々はどんなものであったかを知りたくなり、それでボクの旅の目的地も小樽に決めたのだった。
ことさらにストイックを気取ったわけではないけれども、飛行機でも青函トンネルでもなく、あえて船で渡道したのも、はるばると海を越えて小樽を目指した多喜二一家の家族の心情に、迫ってみたい思いがなくもなかったからだ。
一家が小樽に移ったのは明治40年の12月下旬だ。
冬の津軽海峡は海も荒れ、船は木の葉のように波間に翻弄されたのではないだろうか。
ボクの乗った秋田発苫小牧行きフェリーも、運悪く悪天候にあたり、激しいピッチングを繰り返し、横になっていなければ耐えられないほど、具合の悪くなる寸前であった。(それでも、津軽海峡を過ぎて太平洋側に出たころからは波も穏やかになり、滑るように船は進んだのだが)
短く、決して幸せとは言い切れない生涯を終えた多喜二だったが、小樽では彼のことが大切に扱われているように感じられて、同郷人として嬉しく思ったことだった。

旅をするのには、天候は穏やかなほうがいいに決まっているが、多喜二一家の小樽での日々を思うとき、冬の小樽の厳しい一面もかいま見られたことは幸いだった。

〈おまけ写真↓〉
 
 
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  1. 2007/02/07(水) 12:39:03|
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運河にかかる橋のたもとで

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「何を撮ってらっしゃるんですか?」
「あ、ボクですか? いや、なにね、この、運河にかかる橋をうまく撮れないかなと思ってね」
「カメラマンさんなんですか?」
「いやいや、そんなたいそうなもんじゃないです。ただの道楽カメラマンで」
「あの、お願いしていいですか? あとでもいいんですけど、一枚写真を撮ってもらいたんです。あ、カメラは自分のがありますから」
「あ、いいですよ。ボクでよかったら、おやすい御用です。寒いから先に撮っちゃいましょう」
「すみません。突然お願いしちゃったりして」
「あなたは地元の人なの? それだったらこんな景色は珍しくないでしょう」
「いえ、そうでもないんですよ。冬の荒れた天気のあとの、なんていうか、凛とした空気が、なんだか、いとおしいなあって思うんですよ。それに、あたし最近デジカメ始めたばかりで、同じ風景を他の人がどういう撮り方するのかって、ものすごく興味があるんです」
「ああ、確かにねえ。同じ風景でも、人によって全然違う写真になるものねえ」
「あの、今日帰られるんですか?」
「いや、今夜はグランドホテルに泊まって、あしたもう半日ほど、このあたりで写真撮ってようかなと」
「ああ、それだったら、ご迷惑でなかったら、あしたもう一度逢っていただけませんか? 写真のこととか色々教えていただきたいんです。お礼にお食事でもさしあげますから」
「ああ、ありがとうございます。なんだかかえって申し訳ないな。じゃあ、ついでに教えてほしいんだけど、ホテルの近くで安くてうまい酒が飲めて適当に何か食える店知らないですか? 素泊まりなので外で食おうと思ってるんだけど」
「じゃあ、あたしの知っている店でよかったらご案内しましょうか」
「あ、ああ、いや、ありがたいけど、あなた、奥さんなんでしょ? 指輪してるし」
「いいんです、主人、今夜は出張で、どうせあたし一人で食事するのもつまらないなと思っていたところでしたから」

なあんていうような、キンケイドとフランチェスカのような出会いもなく、一人トボトボと、運河のほとりでバッテリー残量を気にしながら写真を撮っていた津島であった。
 
 

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  1. 2007/02/07(水) 00:50:05|
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Tsushimaほのぼの劇場

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「ま、前が見えねっ!」
「お、おにいちゃんっ、あっちのほうじゃないのっ?!」
 
 

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  1. 2007/02/06(火) 18:13:40|
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グッバイ、北の大地!

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あと30分で札幌駅から帰途につきます。
いやあ、楽しかったです、北海道。
今朝の小樽はとてもいい天気で、二日間でしばれる北海道とゆるい北海道の2つの顔を見ることができて幸いでした。
秋田から意外に安く来られることも分かったので、また遊びにきます。
今回は小樽中心に回ったけど、次回は札幌中心にでも。
その際には、北海道在住の皆さん、ぜひ一杯やりましょう。
秋田からうまい酒を持参しますので!

じゃ、see you!
 
 

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  1. 2007/02/05(月) 16:28:17|
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さっそく事件です!!

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札幌から小樽に向かっているのだけど、架線故障とかで電車が「ほしみ」駅で止まったままです。
タクシー代行になるみたい。
この程度のハプニングなら楽しい旅の想い出。

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  1. 2007/02/04(日) 08:50:14|
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明日 私は旅に出ます

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あなたの知らない人と二人で…

…と、いいたいとこだけど、残念ながら一人旅です。
この数ヶ月間ずぅっと、びっしり詰まったスケジュールと締切に追われ、自分史上かつてないほどにストレスが募り、「そうだ、この仕事が終わったら、旅でもしよう。誰がなんて言ったって、絶対旅をしよう!」…と、固く心に決めてたのでした。
今夜中にあともう1つだけ仕事を片付け、あしたそれを引き渡せば、予定通り夕方には出発できそうです。
帰ってくればすぐにまた仕事があるので、ほんのつかの間の休養(といっても、この旅自体も実は個人的テーマの取材を兼ねている)なのだけど、なんであれ、人間、旅はしなくちゃいけません。

そういえば、ハタチ前後のころ、ボクは毎年寝袋を担いで北海道旅行をしていたのだけど(そういうスタイルの旅人は“カニ族”と呼ばれていた)、旅先でけっこう一人旅の女の子とも出会ったもんだ。それでいろいろと情報交換をしたり、スケジュールが合えば少しの間一緒に旅をすることもあったのだ。ああ、思い出した。ボク自身も、どこかの駅で一人旅の女の子と知り合い(京都のコだったかな)、その日は一日一緒に行動して、ユースホステルに泊まることになっていた彼女に合わせて、ボクも予定を変更して一緒にYHに泊まったことがあったなあ。
ああ、青春の1ページだなあ。(遠い目…)

そういう女子の一人旅について、帰ってきてから周りの女性たちに話すと、「いやあ、一人旅はできないわ」…と、言うのである。物騒だから…というのが、彼女たちの見解だ。
でも、案外そういうものでもないんだよ。
むしろ、一人旅の女性は、同じ旅行者や地元の人たちから、とても優しくされることが多い。きっといい想い出をたくさんつくれるはずなのだ。
昔は一人旅の女性を泊めない宿も多かったけど、今はあまり制約がない。

さてと、ロバート・キンケイドじゃないけど、中年カメラマンの一人旅。
旅先で思わぬ出会いとか、あるかしらん。むふふ♪
 
 

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  1. 2007/02/02(金) 19:20:10|
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歌口盗人 -UTAGUCHINUSUBITO-

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今日、ちょっと面白い話を聞いた。
小学校の先生たちの話の又聞きなのだけど、小学校では、卒業シーズンが近づくと6年生の女子のリコーダーの歌口(吹き口)がなくなる“ミステリー”が頻発するのだという。
きっと、男子が、自分の好きな女の子のリコーダーの歌口をこっそり盗んで持ちかえり、家でドキドキしながらその歌口をぺろぺろしているのだろう。
人の物を盗むのはもちろんよくないことだけれど、なんとなく、抑えがたい人の恋心の原点のようなものが垣間見えて、微笑ましくなってくるのである。
あるいは、自分ではあえて盗むつもりはなくても、他の男子に持っていかれるのは堪え難いので“盗み急ぐ”、のかもしれない。
リコーダーは、小学校卒業と同時に原則的には不要なものになるので、タイミング的には卒業シーズンにいただくというのはあまり罪悪感がないのだろうし、また、実際に盗難被害としてはさほど深刻なものでもないようだ。
ただ、小学校卒業から10年、あるいはそれ以上の月日が過ぎて、部屋の中を整理していたら偶然リコーダーの歌口だけが出てきて、しばらくは、なぜ歌口だけなのか思い出せず、やがて、あのころ好きだった女の子の歌口を盗んだことを思い出し、ぽっと顔を赤らめて、そして、「ああ、オレはなんて幼稚な恋をしていたのだろう」と、恥ずかしくなるのだ。

長く続く恋はそう多くはない。短い間に終わってしまったり、いつの間にか忘れてしまったりすることのほうが多い。
とうの昔に忘れてしまっていた恋を、何かの拍子に目の前に示された想い出の品で、唐突に記憶が蘇り、ほろ苦く甘酸っぱく、そのころのことを振り返るひとときも、せつなく幸せな瞬間だ。
 
 

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  1. 2007/02/02(金) 02:00:30|
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言うだけは言う

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今日は事情があってクルマを使えず、外出にはバスを使っていた。
出向いていた新聞社で用事を済ませて最寄りのバス停まで向かっていたとき、下校途中のひと組の高校生カップルとクロスした。
その二人は、手をつないでいた。
手をつないで歩く高校生カップルは今時珍しくはないのだろうけど、多分この二人はまだ手をつないで歩くことになれていないらしく、手をつないではいるものの、二人の身体の間隔が妙に空いているのだ。ぴったりと身体を寄せあって歩いているのではなく、歩道のブロック一個分ほど離れて並んで歩いているその姿の初々しいことよ!
男子のほうは、あれはたぶん野球部かもしれない。いかにも田舎の高校の野球部員風の、ちょっと垢抜けしない感じの男子だ。
勝手に決めつけちゃ彼に失礼だが、自分から好きになった女子に告白したり、帰り道、手をつないでいこうと自分から提案できるようなタイプには見えない。
一方の女子のほうは、背筋がしゃんと伸びて自分からはっきりものを言えるようなタイプに見え、自分が欲するものは自分の努力で手に入れるという芯の強さが感じられた。
つまり、彼につきあおうと言ったのも、手をつなごうと言ったのも、彼女のほうではなかったのかと。
あの二人の間の妙な間隔は、彼のほうのはにかみなのだ。
一緒にいるところを友だちに見られて冷やかされたら、顔を真っ赤にして恥じらうのは、きっと男子のほうだろう。

男にも女にも、いろいろなタイプがある。
女は、しばしば男のリードを期待する。
ところが、男は誰でもリードが得意なわけではない。
女性から何かを要求されたらそれに応える優しさはあっても、自分からああしようこうしようとか、ああしたいこうしたいとは言えない男もいる。シャイな男も世の中には少なくないのだ。

そんなシャイな男に惚れておいて、あとになって、「あの人は手も握ってくれなかった」などと怨んではいけない。手も握ってくれないようなシャイな男に惚れてしまったのなら、こちらから何かとアプローチしていくしかないのだ。
男にリードされるのを好むのなら、シャイな男ではなくもっと違うタイプの男を好きになることだ。

ちなみに、津島も、自分からリードしていくのはちょっと苦手なタイプ。
相手が望むことにこちらが合わせるのはなんの抵抗もないし、「何か希望ある? なければこっちの希望を言ってもいい?」などと一応確認をとらずにはいられない。
なんせO型だから、「こうでなければ絶対ダメだ」ってことがない。「どっちでもいい」って思ってしまうことのほうが多い。

ふと、二人きりのときを過ごしてそのまま朝を迎えて、あとになって、「あのとき津島さんはあたしを抱いてもくれなかった」などとボクを責めてはいけない。
ボクはどっちでもよかったのだ。
あなたがそれを望んでいたのならボクはそれに合わせていただろうし、あなたがそれを望んでいないのならボクもそれに合わせるしかないだろうと思うのだ。
まぁ、ここまでの話は戯れ言だけど、実際にそれに近い体験で地団駄を踏んだことがあった。
それは初体験のころのことだけど、お互い少し酔った勢いを借りてそういうことになって、その後もボクは内心、「もう一度同じことをしたい」と思い続けていたのだけど、どうしても自分の口からは切り出せなかった。
で、何ヶ月かの友だち的な交際ののち、進路が違ったので自然に離ればなれになることになったのだけど、その最後の飲みのときに、ボクがぽつりと、「ああいうこと、もう一度くらいあってもよかったな」と言ったら、彼女も、「そうね」…と言うのだ!
なんだ、結局、オレの押しが足りなかっただけだったのか!

以来、とりあえず「言うだけは言う」ことにした。

座右の銘『言うだけは言う』
 
 

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  1. 2007/02/01(木) 02:31:43|
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