津島修三ブログ

カメラマン兼ライター津島修三のブログ

ずっと、キミのそばにいる

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キミはボクのものではないし、ボクのものにしたいとも、思ってはいない。
キミは、キミ自身のココロのコンパスが示す方角を信じて、自由にのびのびと、キミ自身がたどり着くべき幸福の日々を、目指せばいい。
ボクは、キミが目指すべき幸福の終着駅ではない。
あるいは、列車で旅をするキミと、たまたま同じボックスに乗り合わせた旅人の一人に過ぎないのかも。
キミの降りる駅が見つかったら、ボクらはそこで手を振って笑顔で別れよう。
ただ、もしどうしてもキミの降りるべき駅が見つからなかったら、ボクは、どこまでもキミの旅につきあってやってもいいと、思っている。

来年も、ボクたちはいい旅をしよう!

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  1. 2006/12/31(日) 13:33:46|
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娘をたずねて三百里

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それは酔った勢いの一言から始まった。
今月上旬、東京でOLをしている娘と電話で話をしていたら、娘は、「暮れに帰省したいのだけど、飛行機も新幹線もなかなかチケットがとれない」などとウダウダ言うのである。
それでボクはつい、「だったら、迎えに行ってやろうか?」と、ぽろりと言ってしまったのである。
あ、いや、それはあくまで一つの選択肢として…とフォローしようとしたのだけど、娘は聞き入れず、「うん、それで決まり!」と、一瞬にして、東京から秋田に帰省する娘を秋田の親父がクルマで東京まで迎えに行くことに、決まってしまったのであった。
ボク自身、長距離ドライブはそれほど苦ではないので、行くと決まれば、あとは少しでもそれを楽しまねばなと、考えるのだ。
少し早めに都内に入って、学生時分に過ごした柴又を訪れてみようかとか、一度撮ってみたかった隅田川の水上バス「HIMIKO」をどこかの橋の上から狙ってみようかとか、深川あたりを徘徊してみようかとか、娘とは田町の駅前での待ち合わせだったので近くの東京タワーにでも行ってみようかとか、いろいろとオタノシミのイメージはあとからあとから湧いてくるのだ。
ところがだ、それらの画策は、ことごとく霧散してしまったのだ。
理由は、寝坊と渋滞。
秋田を26日の夕方に出発して、国道4号をひた走り、福島県の道の駅安達にクルマをとめて車内で仮眠したのだけど、このごろすっかりクルマで寝るのに慣れてしまって、ほんの2、3時間のつもりが、ぐっすり気持ちよく6時間も寝てしまったのだ。ふだんベッドの中で寝ているよりも長く寝てしまった。
慌てて東北道に乗って、川口から首都高に入ったのだけど、それがまたあきれ果てるほどの超渋滞。700円は駐車料金かよっ…って感じ。
というわけで、早朝に都内に入る目論見は見事にくずれ、1時過ぎにやっと田町駅前にたどりつき、夕方娘と落ち合うまでの数時間、すぐそこに見える東京タワーにすら行けず、そばを食ったりコーヒーを飲んだり、ぶらぶらと運河沿いの倉庫群を眺めて写真に撮ってみたり、駅からの突き当たりの岸壁で、レインボーブリッジにつながるループ橋を眺めているしかなかったのである。
たとえば、同じように写真を趣味にしていて、声をかければ撮影デートにつきあってくれる女友だちも、いなくはない。あとは、その人が当日都合がつくかつかないかだけ。
独りでも十分に楽しく、二人だったらまたそれなりに楽しく、そういう気分で、ボクは田町駅の芝浦口界隈で、都会の冬の午後の散策をのんびりと楽しむのだ。

夕方6時ころ、娘と田町駅のコンコースで落ち合い、すぐにクルマで東京を離れる。
埼玉に入ってから、道路沿いのかっぱ寿司で軽く夕食をとり、あとはひたすら夜の国道を秋田に向かって走る。
娘は、問わず語りに自分の恋の進捗状況などを語り始める。
若い人の恋は、なかなか最初からうまくいくものでもない。むしろ、失敗の中から学習して上手な恋ができるようになることもある。
親父は、娘が少しでもハッピーな人生をおくれるよう、押し付けがましくない程度に、(自らが失敗の中から学習したことなどをベースに)サジェスチョンするのである。

ケチな親父は、なるべく高速道路を使わず、途中眠くなったらクルマをとめて仮眠したりしたので、秋田に帰り着くまで15時間ほどもかかってしまったが、その時間の大半を、娘は、助手席の背もたれをフラットにして、秋田から持参した毛布にくるまって気持ちよさそうに眠り続けていたのであった。

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  1. 2006/12/29(金) 13:06:53|
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クリスマス未遂

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死んだ子の歳を数えるようなもので、終わってしまった恋を振り返るのは詮無いことなのだけど、その年の6月に始まった恋は、「クリスマスには何をプレゼントしてあげようかな」とワクワクしていたのもつかの間、そのクリスマスを迎える前にあっけなく終止符を打つことになったのであった。
たった一度のクリスマスすら越えられなかった、短い命の恋だった。
今であれば、ボクたちの間に何が足りなかったのかは、おおむね想像がつく。
だけど、恋の炎が消えかかっていたそのころは、「そろそろ終わりにしたい」と申し出る彼女に対して、「そんなこと言うなよ」と、悲しい顔で懇願するしか術のないボクであった。

唯一の収穫と言えば、あのあと、何が足りなかったのかを、少しは学習できたことだ。
その学習の成果で、そのあとに出会った女性たちには、少しは優しい気持ちで接していられるつもりだ。

どこかの空の下で彼女も幸せでいてくれればいいなあと想う、クリスマスの夜だ。
 
 

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  1. 2006/12/26(火) 00:35:07|
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イブのサンタは眠れない

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イブのサンタは、眠れないのだ。
どんなにシャンパンに酔っぱらって、激しく睡魔が襲ってきても、じっと寝ないでいなくちゃならない。
子供が完全に寝入って、ちょっとの物音でも起きないくらいになるまで、イブのサンタは寝ちゃいけないわけだ。

懐かしいなあ、我が家の子供たちが小さかったころのクリスマス。
自分自身の子供のころのクリスマスも懐かしいけど、自分が親になって、自分の子供たちと一緒に迎えるクリスマスというのも、とても楽しいものだね。
なにげなくなにげなく子供のほしいものを聞き出し、気づかれないようにそれを買い込んで、ばれないようにイブの夜までどこかに隠しておくわけだ。
サンタクロースは実在しない? あれは親がやっているのだ?
いやいや、サンタクロースは実在するのだよ。
12月になると、サンタクロースのスピリッツが子供の親に憑依して、親がサンタクロースに同化してしまうんだ。
だから、25日の朝に子供の枕元に子供の欲しかったプレゼントが置かれているのは、あれはまぎれもなくサンタクロースの仕業なんだ。

さて、今夜のサンタは、別の意味で眠れなかった、んだな。
「年末進行なので、月曜日までに原稿仕上げてほしい」と懇願されて、年明けに取りかかるつもりでいたやつを、急遽イブの日曜日の仕事にしたってわけだ。
この原稿が仕上がらないうちは、寝たくても寝られない。辛いしんどい夜なのだ。
しかも、家族の団らんもあるから、夕食は一応家族全員でとって、シャンパンも少し飲む。
アルコールを飲んだあとに起き続けて仕事を片付けなきゃならないってのは、これがまたずいぶん辛いことなのだな。

でも、幸いなことに、さっきやっと、ひとまず書き上げることができた。ああ、これで一安心。
月曜日も取材があるので遅くても9時前には起きなければならないけど、今から風呂に入って寝るとしても、4時間以上は寝られるから、まあそれでよしとしよう。
ざばっと一風呂浴びて、そぉっとカミさんの寝ているベッドに滑り込んでいくわけだ。
ああ、もう一杯くらいは飲みたいな。
イブの夜だもの。

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  1. 2006/12/25(月) 03:55:29|
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チャットの夜

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実は、ついさきほどまでチャットをしていた。
以前から、ボクが管理していたBBSに集まってくる人たちで月一のペースでチャットを楽しんでいて、多いときには10人以上もの参加があってわいわいがやがや盛り上がっていたのだけど、みな忙しくなってきたのか、あるいは他の楽しみができたのか、少し集まりが悪くなってきていたので、暫時休止していたところだった。
ただ、今年もあと残り少なくなってきたし、ボク自身も少しは時間を割けるのは今夜くらいしかなかったので、「よし、じゃあ、今夜チャットで忘年会でもやろうか」…と、なったわけだ。
集まったのはボクの他に40代から50代の女性4人。秋田2人、関東1人、九州1人。みんな既婚者。
いかにも津島らしいでしょ?(^^;
中年の男女がこういう形で友だち付き合いするという状況が、想像できなかったり、あるいは、気持ち悪いと思う人もいるかもしれないけど、いやいやこれでなかなかどうして、配偶者以外にもう一つの別のチャンネルを持っているということが、どれだけ人生を潤わせてくれていることか。
まだ若い人には想像できない世界かもしれないけど、ドロドロになってズタズタになってしまう展開は論外としても、自分の人生に、一つではない複数のチャンネルを持つことは、なかなか悪くないことですぜ。

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  1. 2006/12/24(日) 01:56:36|
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午前9時半の情景

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たまには温泉でのんびりゆったり過ごそう…という企画の取材で、ボクは昨夜から、アトピーにもよく効くと評判の、山の中の硫黄泉の温泉宿に泊まっていたのであった。
温泉の取材に行ってもインタビューやら撮影やらで気ぜわしくて結局風呂には入らないで帰ってくることも珍しくはないのだけれども、硫黄泉にはやはり惹かれるものがあって(特に、湯上がりにいつまでもカラダから漂ってくる湯の香!)、夜と朝に分けて3度も風呂に入ったのだった。何十分でも漬かっていられるぬるめの湯だった。
“のんびりゆったり”…とはいえ、すぐあとには別の仕事が控えていたので、朝食を摂って軽くざんぶと朝風呂を浴びたあとは、そそくさとチェックアウトして宿をあとにしなければならなかった。

帰り道の途中に国の天然記念物にもなっている湿原植物群落地があって、一度はそこを通り過ぎたのだが、いくら先を急いでいるとはいえ、こういう値打ちのあるものに目もくれないのは情けないと思い、引き返して写真を撮ることにしたのだった。
駐車場にクルマをとめ、カメラを抱えて湿原のほとりに立つ。
水面に氷が張り、葦には霜がおりている。
ああ、こういう情景も悪くないな。
ほんの2、3枚シャッターを切ってクルマに戻る。

ボクのクルマのちょっと向こうに、さっきはとまっていなかった軽自動車がとまっている。
そしてその横に、今しも普通自動車が到着し、軽自動車を運転してきた女性は、その普通自動車に乗り移ろうとしているところだった。
ボクが自分のクルマに乗り込もうとしたころ、二人を乗せた普通自動車は駐車場を出ていくところだった。
女性は、助手席の背もたれを深く倒し、なんだか不自然に身を潜めるようにしていた。
“いけないいけない。そんなに背もたれを倒しちゃいけないよ。もっと普通に自然に、堂々と楽しそうにしていなさい”
ボクは、心の中でそうつぶやいていたのだ。

タイミング的に、二人の乗ったクルマのすぐあとをボクのクルマが追いかける形になった。
それが少し目障りだったのか、前のクルマはウィンカーを点滅させて路肩に寄って、ボクのクルマを先に追いやろうとする。
ボクは意を汲んで二人のクルマを追い越す。
あとからゆっくりと二人のクルマが発進し、かなり距離をあけてボクの後ろを走り、そうして、急ハンドルを切るようにしてくいっと左の林の中に消えていった。

愛は愛で、完遂しなさい。
あとは、それが安っぽい想い出や苦い記憶にならないように、精一杯努力することです。
林の向こうにどんな建物が見え隠れしていたかを、ボクは気づかなかったことにしておきますから。

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  1. 2006/12/20(水) 22:47:55|
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女友だち

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ボクには、一緒に活動をしたり、たまには一緒に酒を飲む男女の仲間がいる。
特定の女友だちと二人きりで過ごすよりも、どちらかと言えばそういう仲間で過ごすことが最近は多くなった。
過日、例によって、用があって仲間たちが集まり、用を済ましてあとは解散となったときに、解散前にお茶でもしよう、ということになった。
普段のボクであれば、コーヒー一杯あればいいのだけど、この頃少し疲れ気味で、カラダが甘いものを欲していたのか、チョコレートケーキとコーヒーのセットをオーダーした。みな銘々に、ケーキセットだのドリンク単品だのをオーダーしている。
入った店がイタトマだったので、かなり大振りなチョコレートケーキがボクの前に置かれた。
ボクは、テーブルに両肘をついて、よれよれの気分でチョコレートケーキを口に運ぶ。
ケーキがあと2、3口の大きさになったとき、ボクは少しフォークを休める。
そうしたら、斜め向かいに座っていた仲間の女子が、何も言わずにつつつとボクのチョコレートケーキを皿ごと自分のほうに引き寄せ、ボクが使っていたフォークでそのケーキを食べ始めたのだ。
おうおう、なんとその、自然な仕草であることよ!
ボクも彼女も、周りのほかの連中も、そんなことでは誰も騒ぎ立てたりはしないのだけれども、女友だちの一人である彼女のその自然な振る舞いかたが、ボクにはちょっと愉快に思われたことだった。

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  1. 2006/12/19(火) 02:31:07|
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男鹿の女(ひと)

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13日の夜、ボクは男鹿半島の、部屋の窓から日本海の水平線が眺められる温泉宿に泊まっていた。取材で。
取材の一日目の最後の仕事は料理写真の撮影で、それを撮り終わったら、その料理を食べながらビールでも飲んで少しゆっくりするのである。
ところが今回は、たまたま宿の年配の専務さんが写真を趣味にしている人で、料理を撮っているところを見学させてもらえないかと申し出られたのだ。
見学も何も、ボクの撮影は、ストロボも使わず、ほとんどオート設定のスナップ撮影なので、あまり人様にはお見せしたくないのだけれども、取材でお世話になっている関係上、断るわけにもいかない。
よほどボクの撮影法が(逆に)斬新に見えたのか、あるいは社交辞令なのか、とにかく専務さんはいたく感動されて、「ぜひこのあとはお酒でも飲みながら…」と、来たもんだ。
それで、急遽ボクの部屋が宴会場になったのだ。
改めてテーブルに料理が並べられ、ボクのほかに専務さん、料理長さん、支配人さんがテーブルを囲み、仲居さんに言いつけてビールがじゃんじゃん運び込まれてくるのである。
こんな男どもの思いつきの酒宴に遅くまで働かされて、仲居さんたちも気の毒なことである。
ビールを運んできてくれた仲居さんに、専務さんが「済まないね」と、声をかけた。
その仲居さんは、こちらからは目をそらしたまま、「前にお会いしたことがあります」…というようなことを、ぽつりと言った。
その一言にボクは、「あっ!」…っと、声を上げた。
ボクは女性の顔はなかなか覚えられないたちなので面影に記憶はないのだけれども、思い当たる人がいたのだ。
その人のことは、このブログの今年4月7日の記事にしている。
以前、この近くの別の温泉宿で仲居さんをしていて、ボクが取材で訪れたときに、食事の間少し語らって、ボクの印象に残っていた人だった。
「あぁ、そうですかあ。こちらに移られたんですね。あの時は、しみじみ語り合いましたよねえ(笑)。ご主人は?」
「元気です」
「ここで一緒に働いているんですよ。仲が良くてあてられてます(笑)」と専務さん。

ひとごとながら、「それは、よかったよかった」と、思っているボクだった。
「実はね、あなたのことをブログに書いたことがあるんですよ」…と耳打ちして、もうちょっとだけ彼女との距離を縮めたい衝動に駆られたのだけれども、結局翌朝のチェックアウトまでに彼女の姿を見かけることはなかった。

何か、幻でも見ていたような、一夜であった。

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  1. 2006/12/16(土) 03:24:42|
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恵比寿で間接キッス

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恵比寿のガーデンプレイスは、サッポロビールの工場跡を再開発したものだったと思う。
なので、あそこには恵比寿麦酒記念館というのがあって、中でビールの試飲ができるのだ。
デートの場所に恵比寿を選んだのは、ボクのビール好きを知っていたSちゃんの機転だったのかもしれない。
展示物の見学もそこそこに、ボクたちは試飲コーナーに向かい、飲み比べセットというやつをオーダーしたのだった。
Sちゃんが一口飲んだグラスを、「あ、これもけっこう美味しいよ。ほら」と、ボクの前に差し出すのである。
それをボクが飲んだら、間接キッスではないか。
子供じゃないんだから、間接キッスごときでときめくわけじゃないけれども、恋人というほどの関係でもないボクに向かって間接キッスを許すSちゃんの屈託のなさに、ボクは少しばかり、ほっこりとした気分になるのだ。
エチケット的なことからいえば、彼女が口をつけたあたりを指で拭って飲むものかもしれないが、それはあまりに無粋で他人行儀なので、ボクは心の中で「いただきます!」とつぶやいて、そのまま自分の口に運ぶのだ。

あのころ、Sちゃんにはもうフィアンセがいたはずだ。
信頼し合って結ばれるはずの二人だったのに、ちょっとした彼の秘密が露見して、彼女はえらく憤慨していた。
「聞いてよ、津島さん!」…と、腹の虫がおさまらないままボクにメールをよこして怒りをぶちまけるのだ。
「まあまあ。彼だって、ずっと秘密にしていようと思ってたわけじゃなくて、言い出すタイミングを逃していただけなんだろう。だから今回思い切って白状したんだと思うよ。許してやれよ」

その後メールのやり取りは途絶えたので、今のSちゃんの消息は知らないが、〈便りがないのは無事な証拠〉の言葉通りだとすれば、きっと彼女は無事に結婚をして、大きなケンカや小さなケンカを繰り返しながら、それでもあまりストレスを抱えずに、生きているのだと思う。そう信じたい。

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  1. 2006/12/12(火) 15:05:24|
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感情対効果

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例えばの話、昔に比べてちょっと態度がよそよそしくなったような奴には、不平の一つも言いたくなるのである。
なんとなく意見が噛み合なくなったときには、とげのある言葉の一つもぶつけてみたくなるのである。
が、しかし、そんなときにボクは、“費用対効果”ならぬ、“感情対効果”を考えて、ぐっと踏みとどまるのだ。
つまり、そういう感情あらわな態度をとって奏功するのか、と。むしろ、裏目に出てしまうのではないだろうか、と。
感情の赴くままに突っ走って何も効果を出せないくらいだったら、効果を期待して感情のほうをコントロールしたほうがいい。
実る恋ならそれを謳歌するとしても、実らない恋なら、あるいは、枯れていく恋なら、騒がず傷つけず波風たてず、感情をおさえて、静かに静かにフェードアウトしていく恋にしよう。
 
 

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  1. 2006/12/11(月) 00:43:01|
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affectionately

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恋というものが、もし、自分の手でその人を幸せにしてあげたいとか、あるいは、その人といることで自分が幸せな気分に浸りたいということであれば、遠くでその人の幸せを祈っていたいような感情は、なんと呼べばいいのだろう。
その人と一緒にいればこちらも幸せな気分でないわけではないのだけれども、その人の人生のすべてまでを背負い込むことは残念ながらボクにはできないのだ。
むしろ、その人を一生ちゃんと支えてくれそうな人が現れたら、ボクは心底、「ほんとによかったね」と、ほっとすることだろう。
それでいてまた、そんな人が現れるまでは、少しでも自分の近くにいてほしいと願う、身勝手な感情だ。

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  1. 2006/12/10(日) 00:53:53|
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いいじゃないの、幸せならば…

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昨日は、3ヶ所を取材して回るハードスケジュールの一日だった。
それぞれがかなり離れた土地なので、クルマで1、2時間ほどかけて移動するのである。
運転をするのはクライアントの女性スタッフI子さん。
津島は代理店のS君と後席に並んで座っている。
ひょんなことから、話題がアヴァンチュールの話になる。
イイイミデモワルイイミデモ、みんな“大人”なので、こういう話は案外あっけらかんと話のネタになるのだ。
S君がぽろりと白状してしまった過去のアヴァンチュール体験が、会話の発端だった。

津島「こういうこと言ってもなかなか信じてもらえないんだけど、ボクは、自分の女房が浮気しても構わないと思っているんだ。それで彼女が幸せならね。彼女自身の人生だしね。ただ、できれば、絶対に僕にはばれないように上手くやってほしい。知ってしまえば、やはりボクも、ちょっとはもやもやした気分になってしまうと思うから。知っても黙認はするけど」
S君「ふーん、ボクだったら、女房の浮気が分かった瞬間に、自分が壊れてしまうかもしれないな」
津島「そういうのって、『自分のことは棚に上げて』って言うんだよね、いわゆる」
I子「うひゃひゃひゃ、おもしれぇ〜♪」

移動中はそんなおもしれぇ話をしながら、仕事だけはきっちり真面目に取り組むのである。
 
 

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  1. 2006/12/08(金) 13:23:42|
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背中を掻いてくれる人

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結婚してよかったなあと思うのは、背中が痒くなったときに連れ合いに掻いてもらっている瞬間だ。
連れ合いのほうもときどき、唐突に「おとうさん、背中掻いて!」と、いきなりボクに背中を向けてくる。そうするとボクは、首元か服の裾から手を差し込んでボリボリと掻いてやるのだ。
こちらの背中が痒くなったときに頼めば、連れ合いも気安くボクの背中を掻いてくれる。
一緒に寝ていて、急に堪えきれず痒くなると、ボクは連れ合いに背中を向けて、「右の肩甲骨!」と叫ぶ。
連れ合いは心得たもので、テレビを見たままで、ボクのパジャマの裾から手を差し入れてボリボリと右の肩甲骨の辺りを掻いてくれるのだ。
阿吽というのかツーカーというのか、案外に、一番痒いスポットをすぐに探り当ててくれる。
「あぁ、そこそこ!」…と、恍惚感に、とろけるような気分になるのだった。

痒みもおさまり、「ありがとう」と礼を述べるのに続いて、
「右のキンタマ袋!」…って言ったら、
「うるせいっ!」って一喝されちった。

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  1. 2006/12/06(水) 23:31:36|
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写真はしばしば“鏡”になる

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侮れないのだ。
写真はしばしば、それを撮った人の、心の中が映し出される“鏡”になるのだ。
ああこの人は、現実逃避のような、何かの救いを写真に求めているのではないだろうかとか、とてもはつらつと気持ちが外に向いていて、見るものすべてに心を揺り動かされてシャッターを切らずにいられないのではないかとか。
結局、シャッターを押しているのは、あなたの“心”なのだから。
見る人が見れば、その写真から、あなたの今の心の中までも見透かされてしまうのだ。

ネット上に何人かいるボクの女友だちのブログを訪ねてみて、その日の写真になにやら生気がみなぎっているように感ぜられると、「お、今日の彼女はごきげんそうだな」と、ボクはにっこりするのである。

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  1. 2006/12/06(水) 01:42:01|
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あったまっていこうか

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熱めの湯が好きなキミが「熱い」というのだから、ここの湯は相当に熱いのだね。
それでもボクらは、せっかくここまで来たのだからと、我慢して我慢して、顔を火照らせて首まで湯につかり、湯上がり前に子供が親に十か二十を数えさせられるように、ふうふう言いながら、「よし、これで元を取ったぞ」と、少し打算な気持ちで、ざばっと湯から上がるのだ。

湯上がりのキミは、帰り道にクルマを走らせると、ほどなく心地よい睡魔が襲い、助手席の背もたれを倒してくーくーと気持ちよさそうな寝息を立てるのだ。
ボクはそこから数十キロの道のりを、スピードの加減とハンドルさばきをつとめて穏やかにして、ときどきちらちらと、キミの寝顔を楽しむのだ。
 
 

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  1. 2006/12/03(日) 16:36:00|
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寒いはずである

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ふと、仕事部屋の窓から外を眺めたら、黒いはずの庭の愛車が白い。
げっ、もしや…。
嗚呼、寒いはずである。

さ、今日から季節が変わりました。
冬の秋田に遊びにいらっしゃい!

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  1. 2006/12/03(日) 11:00:25|
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迸る。 - HOTOBASHIRU -

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内よりほとばしるものは、どこかにためておかないで、いっそ、すべて吐き出してしまえばいいのだ。
吐き出してしまったあとの、そこに訪れる安寧こそ、我々がたどり着きたかった場所。

恋をしている時間は、甘美なものである。
だけれども本当は、人はその瞬間の甘美のために恋をするのではなく、あとになって永遠に続く記憶の甘美のためにこそ、恋をするべきではないのか。
瞬間の一つ一つが甘美であったとしても、永遠に続く記憶が苦渋であっては、何のための恋だったのか分からなくなる。
私は、恋については計算高い。
甘美な記憶に出来そうもない恋なら、いっそ早いうちに断ち切ってしまう。
いい想い出をたくさんつくって死んでいきたい。ただそれだけの人生。
 
- 秋田県にかほ市 元滝伏流水 -

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  1. 2006/12/03(日) 00:47:15|
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木々の紅葉、ヒトの紅葉。

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いつのころだったか、ボクは、秋の木々の紅葉を嫌悪していたことがあった。
「あんなものは、命が果てる前の、哀れな“変質”に過ぎないではないか」…と。
事実とすれば、それは確かにその通りなのだけど、しかし、それでも今は、あの鮮やかな彩りを、美しいものと感じていたいと、ボクは思うのだ。
たとえば、かなりの高齢の老女が、もう色香でもないだろうって歳なのに、人前に出るときに、軽く頬におしろいをはたき、唇に紅を引く。
それで男が胸をときめかせることはないけれども、その歳になっても唇に紅を引こうというそのヒトの、女としての“立ち位置”を、ボクは素敵だと思う。
木々の紅葉、ヒトの紅葉を、ボクは素直な気持ちで愛でたいと思う。
 
 

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  1. 2006/12/02(土) 00:18:41|
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優しい気持ちで生きたい

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今日、自分で一つ分かったことがある。
それは、自分で何かに煮つまって鬱々とした気分で過ごしていると、なんでもかんでも、かなり後ろ向きに考えてしまうようだ、ということ。
先週までのように、連日クルマを運転して外回りをしていると、それはそれで結構くたびれるのだけど、後ろ向きな考え方をしている暇もなかった。
一方、今週のように、書いても書いても終わりが見えてこない原稿書きに追われて、BGMさえ耳障りで音も出さずに狭い仕事部屋に籠って仕事をしていると、仕事のことや金のことや人生のことや人間関係のことなど、なんでもかんでも、やたらとペシミスティックに考え込んでしまっているのだ。
ああ、人間の思考って、きっと置かれている環境にとても左右されるものなのだね。
今の自分のこんな状況じゃあ、人に対して優しい気持ちにもなれないものね。
きっと、ストレスを抱えながら生きている人は、いい恋はできないのかも。
言い換えれば、いい恋が出来なくて悩んでいる人は、自分が何かのストレスに蝕まれていないか、我が身を振り返ってみることだ。
人に対しても、少しは優しい気持ちになれるように、今日はちょっと気分転換でもしてみようか。
今日から12月。

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  1. 2006/12/01(金) 02:47:13|
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