津島修三ブログ

カメラマン兼ライター津島修三のブログ

実録・ダリとしのび逢い

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2日朝、ボクは裏磐梯にいた。
前の夜のうちに出発して途中で仮眠をとりながら走ってきたので、特に急いだわけではなかったけど、観光案内所や見学施設が開く前に現地に着いてしまった。
うろうろと裏磐梯の湖沼群をめぐってスナップ写真を撮りながら、この観光地が目覚めるのを待つのだった。

裏磐梯には、世界有数のダリの作品のコレクションを誇る美術館がある。
いつかは入ってみたいと思っていた美術館だった。
今回の裏磐梯取材は、特に何を必ず取材しなければならないということはなく、非常に恣意的。ま、とりあえず行ってみて、ネタになりそうなところを飛び込みでいくつか取材してこよう、という塩梅であった。
ダリの美術館はボクの中ではネタ候補の上位であり、一応礼儀としても事前にアポを取っておくべきだとは思ったのだけど、なにしろ恣意的な取材、ボク自身の気が変わるかもしれないし、アポを取ってしまってスケジュールを固定されてしまうのもちょっと窮屈に感じていた。
なので、アポなし飛び込み取材を断られたらその時はその時だと思って、とりあえず出発したのだった。

さあ、そろそろいい時間だ。
ダメもと、飛び込んでみよう。
受付に、知的で気だての良さそうなかわいいおねえさんが座っている。
「すみません、アポなしなんですけど、取材をさせていただきたいと思いまして。趣旨はこれこれこういうもので。観覧料はお支払いしますので」
「わかりました。ちょっとお待ちください。担当者にとりつぎます」
そしてすぐにキュレーターの登場。こちらも知的な若い女性。
突然の取材の申し込みを快諾してくれて、「ありがとうございます。どうぞご自由にご覧ください。写真も、遠目であれば撮っていただいて結構です」
改めて受付嬢からプレスカードを受け取って、「あの、入館料を…」「いえ、結構ですので」…とにこり。
ああ、なんて優しいお嬢さん。
こういうヒトになら騙されてもいいと思った津島であった。

さて、ダリである。
ボクは取り立てて美術に造詣が深いわけではないけれども、直にダリの絵画や彫刻を目の前にすると(それはすごいことだと思うのだけど)、この人の天才性がビンビン伝わってくる。「すげえな、すげえな」と心の中で叫びながら、ああ、天才肌の芸術家とはこういう人のことを言うのだなと、はっきり思い知らされるのだ。
写真をやっている人たちも、一度この美術館でダリの世界に触れてみるといい。きっとインスパイアされるものがあるはずだ。

先月ボクは大内宿や会津若松を取材して、そのときは時間的な制約などがあってちょっと消化不良な思いがあったので、今回はボクのほうからクライアントに「もう一度行かせてくれ」と申し出たもの。
なので、ノーギャラ。ガソリン代も持ち出しだ。
それでも、ここでダリという天才芸術家に出会えただけでも、持ち出し分を補って余りある大収穫であった。

キュレーターのアツコさん、お世話になりました。
あなたのおかげで、いい一日になりました。

あなたにだったら、騙されてもいいと思った津島でした。


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  1. 2008/07/03(木) 14:12:29|
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家庭内別居

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比較的円満な結婚生活を営んでいるつもりではあるが、まれに相方にカチンとくることが、ないでもない。
そういうときは、ボクはたいていはムスッとする。ムスッとしたまま日常生活を送る。何か言われても返事をしないこともある。温厚なこの亭主も、納得のいかないことでは腹を立てるのだぞと、アピールしなければならない。
最大級に腹を立てた時は、寝室を別にする。
しかしこの手段はめったに使わない。
ボクが、普段相方と一緒に寝ている寝室を離れて別の部屋で寝るというのは、ボクにとっては最大級の“抗議行動”なのだ。
ところが最近になって、別の意味で一つ困ったことがある。
抗議行動のつもりで自分の仕事部屋を仮の寝室にして独り寝をすると、これがなんだか、とても快適なのだ。パフォーマンスとして寝室を別にしたというより、なんだか、キャンプを楽しんでいるような気分。
寝酒に焼酎のウーロン茶割りなんかを枕元に置いて、iPodで落語を聴きながら独り寝するのだ。
その、なんとも気持ちのいいこと。
ボクら夫婦は、たぶんどちらかが死ぬまでダブルベッドで寝ることになるのだろうなと漠然と思っていたのだけど、世の多くの夫婦が、新婚時代はダブルベッドでも次第に別々のベッドにしたり、ついには別々の部屋で寝るようになったりするというのも、今になってみれば、なんだか分からないでもないような気がしてくるのだ。独り寝は、気楽なのだ。

それはそうと、ボクの独り寝はあくまでも“抗議行動”であり、相方に詫びの一札も入れてもらわなければ気が済まないのだ。
とはいえ、際限なくふて腐れたり困らせてやろうというような魂胆もないので、“独り寝期間中”でもいつものように相方をパート先に送り迎えはしてやる。
朝は「おとうさん、お願い」と声をかけてくるし、夕方6時近くなると「お願いしまーす」と携帯がかかってくる。
ボクは抗議行動をしているっていうのに、きゃつは“普段通り”なのだ。ざけんじゃねえよ。
向こうにすれば、「どうせそのうちほとぼりがさめて、寝室に戻ってくるだろうから」と、高をくくっているのだろう。

いや、確かに、いずれは戻るつもりはあるのだけど、できればそれは、“勝利の凱旋”にしたい。
でもなんだか、“敗残兵の帰還”になってしまいそうな感じがしないでもないのだ。
おっかしいなあ、なんでこうなっちまったんだろうなあ。
ああ、でも、ほんとに、独り寝も、なかなか悪くないんだけどな。
なやましい。


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  1. 2008/07/01(火) 00:34:24|
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それを恋とは呼ばないまでも

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昨日は、盛岡の某高校で写真を撮るという仕事があった。
ボクは秋田からクルマで直行し、東京から来るB社の女性の担当者と校門の前で合流することになっていた。
先に着いたボクが校門の前で待っていると、しばらくしてタクシーがやってきて女性が降り立った。
初対面だったけれど、この人だろうなと思って、ボクのほうから歩み寄り、「B社さんですね?」。
「あ、そうです。どうも。今日はお世話になります!」
「こちらこそ、よろしくお願いします! すぐに取材を始めますか?」
「えぇっとですね、ここでカメラマンさんと合流することになっていまして…」
「…?! あ、あの、私、津島で、今回は撮影の仕事ということで来たつもりなんですけど、他にカメラマンが来るんですか?」
「あ、あ、ごめんなさい! 失礼しました! 私、先生かと思っちゃいまして!」

そうかあ…、これでも一応カメラマンなのに、見た目で教師に間違われちゃったかあ…。
まあ、最近床屋に行ったばかりで白髪まじりの短髪だし、ポロシャツによれよれの棉パンという格好だったから、出世コースからはずれた冴えない中年教師(たとえば美術科とかの)に、見えなくもなかったかな。

仕事は、校内で生徒たちをランダムに撮影するというもの。
共学で進学校のこの学校の生徒たちは、なかなかはつらつとした印象だ。
校内を、にこやかに、輝きながら行き交う女子高生たち!
胸のふくらみは、もう、大人のオンナのそれではないか!
おじさんカメラマンは、ちょっと目眩がした。
胸のふくらみだけに限らず、精神面でも、十分に成熟した大人のオンナの印象すらある。

たとえばそれを恋とは呼ばないまでも、少し大人びた女子高生と、少しリベラルな生き方をしたい教師とが、お互いに惹かれ合ったとしても不思議ではないのではないかと、津島は思うのだった。
日本人女性の何割かは、十代のうちに初体験する。
それは、同級生が相手かもしれないし、少し年上の男性かもしれない。白髪まじりの短髪で、ポロシャツによれよれの綿パンの風采の上がらない中年の美術科教師であっても、あまり不自然なことではないかもしれない。
「先生、あたし、シャガールの絵には、天才的というより、なんだか、狂気のようなものを感じてしまうんだけど、そういう感じ方って、間違ってますか?」
「いや、間違っていないと思うよ。多くの芸術家にとって、才能と狂気は紙一重なんだ。そして彼ら自身、その狭間でもだえ苦しみながら一生を終えるんだな」
「なんだか、つらいですね」
「うん、つらい。生涯を讃えたいほどの幸せに包まれて生きた芸術家はそう多くはないかもしれない。まあ、狂った生き方をまっとうできるのも、芸術家にとっては本望かもしれないけどね」
「どういう生き方をすればいいのか、分からなくなってきます」
「うちに、シャガールの生涯を描いたドキュメンタリーのビデオがあるんだけど、見に来るかい?」
「えっ! いいんですか? あたし、見てみたいです、それ!」

そんなこんなで、それを恋とは呼ばないまでも、彼女が大人の階段を一段上ることになったとしても、それはそんなに不思議なことでも不幸なことでもないような気がするのだ。

ただ、やはり、世間の目がうるさいからね。
同級生同士のエッチだったらスルーされるけど、相手が教師だったら周囲の総攻撃を受けて、あげくに職まで失うわけです。
ボクらの世代で「高校教師」といえば、アラン・ドロンの映画ですな。

つくづく、教師にならなくて、よかったです。


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  1. 2008/06/28(土) 13:28:04|
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東京劣情

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東京へ来ることはないのかと聞かれたら、行きたい気持ちはあるにはあるのだ。
江角マキコが女優デビューを果たした『幻の光』という映画があるのだが、その冒頭に、いかにも昭和の下町風景といった感じの電車のガード下のシーンがある。
それがボクにはとても印象的だったのだ。
最近になって、それがJR鶴見線の国道駅のガード下がロケ地だと分かった。
そして、今でもあの映画のたたずまいは残っているようなのだ。
鶴見線だから、正確には東京ではなく川崎なのだけど、とにかく、今行ってみたいのはそこだ。
そこまで行くのだったら、ついでに築地市場にも行ってみたい。場内を撮りたい。
築地まで行ったら、せっかくだからかちどき橋を渡って月島や佃島も回ってみたい。

でもなあ、もし今遠くまで行けるんだったら、もう一カ所行きたいところがあるんだよなあ。
それは、名古屋の明治村。(犬山市だっけ)
うーむ、これらを、青春18きっぷでも使って、秋田から5日以内で回ってしまうか?

ああ、旅心が疼くなあ。
とりあえず、金曜日は盛岡出張なので、冷麺でも食ってきます。


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  1. 2008/06/27(金) 00:58:18|
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東京のねえさん、中国のにいさん

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昨日のこと。
今仕事を一ついただいている東京の出版社に、確認したいことがあって電話したのだ。
「あの、秋田の津島と申しますけど…」
そうしたら電話に出た女性が、「あぁ! 津島さぁ〜ん!」と、ビックリするような素っ頓狂な声を上げた。
「Iですぅ」…と。
Iさんとは、昨年ボクがその出版社の仕事をさせてもらった時、秋田ネタの取材で、彼女が編集者兼ライター、ボクがカメラマンとして一日一緒に行動した間柄だった。
どういうわけか彼女は秋田が大好きみたいで、取材を終えた時も、「今度また必ず秋田に来ますから!」と宣言して帰っていった。
ボクは、基本的に秋田に遊びにきてくれる人(特に女子)は大歓迎で、もし彼女が本当に秋田に来るんだったら、ボクは時間をさいて、温泉巡りでも観光地巡りでも山歩きでも食べ歩きでも、とことんつきあうつもりでいた。もし彼女が酒が嫌いでなかったら、死ぬまで酒につきあってもいい。

そんな秋田びいきのIさんが、いきなり電話に出たわけだ。
「津島さん、東京に来ることはないんですかぁ?」
おいおい、そんなにオレに逢いたいのか?
津島は錯覚しちまうぞ。
「い、いやあ、まあ、上京しないこともないんだけどね。それより、あなたは秋田に来ないの?」
「行きたいんですよ、ほんとうに!」
ぜひおいでなさい。あなたの行きたいところにどこでも案内しますから…と、10分近くも雑談して、「ところでNさんはいます?」と、本来の用向きの相手に取り次いでもらって、そっちのほうの用件は1、2分で済んで電話を切ったのであった。
そうかあ、秋田に来たいけどなかなかきっかけがつくれないのかな。
「東京に来ることがあったら必ず寄ってくださいね♪」と、Iさんは言うのだけど、そんなに津島に逢いたいの? ただの社交辞令? なんか、錯覚しちまうぞ、おぢさんは。

それから一夜明けて、差出人に心当たりのない人からメールが一本入っていた。
文面を読んだらすぐに思い出した。
8年ほど前にネットを通して友人になったB君だった。
アウトドア派のB君は、滝壺が天然の露天風呂になっている秋田の滝がえらく気に入り、東京から何度も秋田に遊びにきていた。ボクのホームページのBBSにも顔を出すようになり、当時ときどき開いていたオフ会にも参加していた。
それから何年もご無沙汰していたのだけど、そのB君のメールによれば、ふとしたことで津島のことを思い出し、懐かしくなってメールしてみたのだと。
独身だったB君も結婚して、なんと今は、日本の会社の中国現地法人の社長なのだと!
ずいぶんと出世したものだなあ。
そして、「機会があったらぜひこっちに遊びにきてください。これは社交辞令ではありません!」と書いてくれてきた。
うーむ、中国かあ…。
とりあえず、行けば泊まれるところは確保できたわけだな。

こうやって、津島とのつきあいを煩わしがらない人たちがいてくれる。
ありがたいことだ。
泣けてくる。

酒でも飲も。


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  1. 2008/06/25(水) 23:44:46|
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